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【創作大賞感想】「閉鎖病棟の窓から、青空を見てた(大谷八千代様)」感想

創作大賞に応募されてるエッセイは結構読んだのだけど、中でも群を抜いていると思ったのが大谷八千代さんの「閉鎖病棟の窓から、青空を見てた」。

読み終わったとき、この作品の感想は絶対に書きたいと思った。

私は「創作大賞感想」を書く時、読み終わった時点でやり取りがない方の作品に限定している。

一切損得が絡まない状態でも、一気に読んでしまうほどのめり込めて、尚且つ感想・レビューを書きたいと思えるのがいい作品だと考えるからだ。

けれど、作者が魂込めて書いているのが痛いほど伝わるので、多くの人に読んでほしいのに、どんな言葉も蛇足になるような気がして、思うように書けないのだ。

それくらい、この作品は心に訴えるものがある。

淡々とした読みやすい文体ではあるが、かなり重たい内容なので、人によっては合わないかもしれない。
実際に同じような体験をした人はそう多くはないだろう。

それでも、自分を見失ったり、生きづらさを感じている人、空しさを抱えている人なら、きっと心に響くものがある。
それはコメント欄の内容からも伺える。

なので、ここまで読んで少しでも気になった方は、まずは是非、「閉鎖病棟の窓から、青空を見てた」を読んでほしい。

ここから先ははっきり言って蛇足である。
でも書きたいから書く笑

冒頭の独り言のような、あるいは親しい友達に打ち明け話をするような、気取りのない文章からは、ハードな体験はとても想像できない。

だから私は

皆に伝えたいことがある。
嘘をつかないで、と。

閉鎖病棟の窓から、青空を見てたより

という序盤の一文を、誰かに騙されて人間不信から立ち直った、という話なのかなと思いながら、読んでいた。

読み進めると、想像とは全く異なる、私には経験のない話だった。
なのに他人ごととは思えない。
共感とも同情とも違う、でも、ものすごく引き込まれる。
いつの間にか文章から目が離せなくなって、ただその先を追っていた。

作者の限界を超えた体験から導き出された答えは、驚くほどシンプルで、普遍的なものだった。

でも言葉の重みが全然違う。
そりゃあそうだ。壊れるほどもがいて、徹底的に自分と向き合って、生き返って……全部体験してきたからこその実感なんだもの。

一見同じ言葉でも、他者の言葉をなぞっただけの「中身のない台詞」とは、込められた意味や情報量が違う。
当然、伝わってくるものも全然違う。

「自分につく3つの嘘の見抜き方」はすごく参考になった。
自分を見失いそうなとき、自覚はないけどなんとなく苦しい時、

「本当に、私は、そう思っているのか?」

そう自分に問いかけてみよう。
どんな時も、何があっても、誰に恥じることなく、胸を張れるように😊


最後にー
大谷八千代様
これまで私が読んだどの本よりも心に残りました。
素晴らしいエッセイをありがとうございました。

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