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守人♯後(連作企画:原作:山木マヒロ様)

斬新なアイデアをトリッキーな手法で見事に表現した小説が面白くて、フォローさせて頂いている「山木マヒロ」様に、

「余裕があったらでよいのですが、「守人♯前」だけ読んだなら、後半をどう続けますか?またはどう終わらせますか?」

と、私が書いたコメントへの返信で、光栄にもお誘いを頂いたので、調子に乗って書いてみることに♪

とはいえ、私は小説の類は完結させたことがないのでドキドキだ……!
がっかりな内容になっても苦笑いで許してもらえると嬉しいです♪

↓こちらがご本人様の原作前編。

以下、山木マヒロ様の後編を読む前に書いた、私なりの「守人後半」になります。

守人♯後 太郎坊ルナバージョン

「本当ですか?!」
 長谷部は思わず身を乗り出した。
 正直なところ、こんな話を信じてもらえるとは思っていなかった。
 だが主治医は憔悴した長谷部を安心させるように微笑み、その場でとある人物の名前と連絡先が書かれた名刺を手渡した。
「ときどき、同じような話をする人がいてね。私は門外漢だから直接の助けにはなれないが、いつでも紹介できるように名刺を預かっているんだ」

「ここか……」

 チャイムを鳴らすとほどなくして、眼だけが鋭くぎらついた、細身の男がドアを開けた。

 あの後、長谷部は藁にもすがる思いで、主治医に教えてもらった人物にコンタクトを取った。
 最初は億劫そうに対応していたその人も、長谷部が主治医の紹介で連絡した、と話すと、打って変わって真剣に耳を傾けてくれた。
 実物を見た上で詳しい話が聞きたい、というので、休みを取り、上里と名乗るその人物に会いに来たのだ。

「実物を見せてみろ」
 会釈して名乗ろうとする長谷部に、上里は挨拶もせず切り出した。
 変わり者とは聞いていたが、いきなりの発言にさすがに戸惑っていると、上里はもどかしそうに、入れ、と、ジェスチャーをして家の奥に行く。
 仕方なく長谷部も後姿を追う。

 その光景に長谷部は声を失った。
 テーブルの上には、円形のボタン部分だけが、長谷部のものと色違いのスイッチが置かれていた。
 しかも6色分……つまり6個もあったのだ。

 オレンジ、黄色、緑、水色、紺色、紫……。
 そして長谷部の手元にあるスイッチは赤いボタン。
 全部揃えば虹色になる。

「紫のは私が授かったものだ」
 そういいながら上里は、長谷部のスイッチが他のものと同じか、じっくり見比べて確認する。
 やがて小さく頷くと、その場で紫のボタンを押した。
「あの感覚がきたんですね」
「いいや」
 予想と異なる返答に、怪訝な顔をすると、上里はこともなげに言う。
「ようやく7つ目が揃ったから押したんだ」
「一体、どういう意味ですか?」

「このボタンの色の意味が分かるか?」
 上里は、続いて紺色のボタンに手をかけながら、逆に問い返した。
「意味といわれても……虹の色、ですか?」
「それも関係しているが、もう一つ、意味がある」
「思いつきません。もったいぶらずに教えてください」
 質問に答えるでもなく、わけのわからない問いを投げかけられ、長谷部は少しいらだってきた。
 意味などどうでもいい。俺はただ、この役目から解放されたいだけなのに。

「チャクラだよ」
「チャクラ?」
 長谷部はいたって現実的な人間で、この手の話には縁がない。
 困惑している長谷部に目を向けることすらせず、上里は慎重に何かを確認しながらボタンを押し、次のスイッチに手を伸ばしていく。

「チャクラというのは氣の流れの一番重要なポイントとなる部分だ。人体の中心をパイプが通っていると想像すればわかりやすいだろう」

 上里が言うには、頭上に霊性の紫、眉間に直観の紺、喉に表現の水色、胸に情動の緑、腹に活力の黄色、丹田に創造のオレンジ、背骨の一番下に生命の赤いチャクラがあるそうだ。

「それがこのスイッチと何か関係あるんですか?」
「大ありだ。虹は天界……つまり例の光り輝く存在と、我々が暮らすこの世界をつなぐ、言葉通りの架け橋だ。そして7つのチャクラを示すこのスイッチを順番に押すことで、天界からこの世までの経路が開き、氣が通る」
 上里はそこで一度言葉を区切り、ようやく長谷部に目を向けた。

「虹が出来上がるということだ」
眼差しを長谷部のスイッチに移し、促す。
「さあ、君のスイッチの赤いボタンを押してくれ」

 長谷部は言われるまま、恐る恐るボタンに手をかけたが、不意に疑問が生じて尋ねた。
「そういえば、他のスイッチの持ち主はどうしたんですか?」
「逃げた」
「逃げた?!」
 驚いて、ボタンを押しかけた手が止まる。
「私がスイッチを調べている間に、トイレを貸してくれといってそのまま戻ってこなかったり、住所を教えたらスイッチだけが郵送で届いたり、色々だ」
「じゃ、じゃあ、その間スイッチは……?」
 嫌な予感がした。案の定、最も聞きたくなかった言葉が返ってくる。
「自分のを押すときに、他のスイッチも押してはきたが効果があるかはわからん。郵送は数日かかったようだから、その間は押されてないだろうな」

 なんということだ。俺の苦悩はなんだったんだ。
 これまでの苦労を顧みて、思わずめまいがした。
 もしかして、スイッチを押そうが押すまいが、さして結果は変わらないんじゃないか?否、そうであってほしい。
 あまりのことに長谷部は茫然としていたが、上里は淡々と続ける。
「逃げたものは仕方ないだろう。できることを試すしかない。さあ、早くボタンを押してくれないか」
 長谷部は、手元のスイッチをまじまじと見た後、大きくため息をついて、ボタンを押した。多分、これが最後だ。

 大きな地響きとともに、これまで見たこともない、巨大な虹が現れる。
 だが、その虹は赤と紫しかない。
 呻くように、上里が呟く。

「生命と霊性だけの世界か……想像もつかんな……」

 そして、赤と紫の光が、静かに世界に染め上げていった。


と、こんな結末になりました~!(≧▽≦)
なんということでしょう……。
めったにホラーは読まないのに(怖いの苦手だから)とんだバッドエンドに着地してしまったw

でも、前半部分を山木さんが書いてくれていたとはいえ、初めて「物語を完結」できたので、本人的には大満足♪
クオリティは……小説初めてなんで大目に見てください(´・ω・`)←言い訳

いやしかし、実際に書いてみると、物語作れる人ってすごいよね!!
前半部分(設定・世界観諸々)あったからこそ、なんとか書きあがったけど、0からだと書ける気がしない……。

つくづく私は計画性がないな、と実感しましたw
どうやら私は書きながらストーリーが展開していく典型らしい。結末も展開も全然思いつかないまま、とりあえず書いてみたら、こういう結末にたどり着いた、という感じ。

きっちり世界観とか構成とか考えられる人ってすごいわ……!!

ともあれ、貴重で楽しい経験させてもらいました!
山木マヒロ様、お誘いありがとうございました~♪😊

↑こちらが山木マヒロ様の後編です♪
決して比べてはいけない。お姉さんとの約束だ!


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