【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯11
尊王攘夷への道(5)
そんな話をしてしばらくたったころ、高杉は同士と承認する者たちを土蔵相模に集めた。聞多もその中に入っていた。
京から江戸に来ていた久坂玄瑞や品川弥二郎などとは一連の連絡会合などで親しくなっており、立派に同士と認め合うようになっていた。逆に俊輔は京に行っていてこの企みには参加していない。
「ようし、我々もいよいよ攘夷を決行する。薩摩に遅れるのは遺憾だが、やらねば長州の攘夷の旗は偽物となってしまう」
高杉が高らかに、熱っぽく演説を始めた。
「鎌倉に横