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Photo by
inagakijunya
炎節
夕闇迫る公園で
7年越しの命をかけて
硬い殻を脱ぎ捨てようと
穴から這い出て 木の幹を登る
宵の明星に導かれ
同じ日 同じ時刻に
同じように穴から這い出る
たくさんの命たち
赤い星がひときわ輝く頃
彼らは自らの背中を割る
新芽のようにやわらかな
薄いみどり色の羽根をふるわせて
じっとしている
湿った風が羽根を撫でる
ゆっくりと
本当の姿に目覚めていく
最後の星が朝にかき消される前に
彼らは飛び立つ
鳴いて 鳴いて
二度はない炎節
相手に出会い
命をつなぐため
生きる
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