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米リステリンが口臭予防の市場を創り出した言葉「ハリトシス」から見る戦略PR 【PR研究所093】

概要

 リステリンは口臭防止のマウスウォッシュであり日本でもかなりの認知度があります。しかし、実はリステリンはもともと汎用な消毒液として売られていたそうです。

 そんな1920年代のアメリカ、リステリンは口臭を意味する「ハリトシス」という言葉を創り出しました。

 この「ハリトシス」はその言葉を中心に世間で大きな話題となり、口臭予防の市場を拡大させることができました。言葉から社会現象を生んだこの事例について考えてみます。

(動画はリステリンの公式紹介ムービー)

課題・背景

①結婚や仕事など、対人でライフワークをこなす人が増えてきた。

②汎用な消毒液としてリステリンが売られているが、これから市場を拡大したい。

ターゲット

「口臭」に関係のあるすべてのアメリカ国民

目的

 「口臭」を社会的に見つめるべきトピックだと定め、新たな市場へ拡大するため。

インサイト

口が臭いことによって社会的な損失をしたくない

施策

 リステリンは口臭を意味する「ハリトシス」という言葉を創り出しました。合わせて出された広告には、口臭がゆえに結婚できないという女性のストーリーが描かれました。ネガティブなイメージから需要を喚起します。(当時の価値観で、結婚するということは人生において非常に重要な位置付けになっていたそうです。)

(実際の広告データ!デューク大学より)

結果

キャンペーンを通した数年間で、売り上げは40倍になったそうです。
欲望する「ことば」より

PRの事例として注目すべき点

 PRとして注目すべき点は主に1つあります。
 それは、人々のインサイトを汲み取り「言語」という記号に起こしているということです。そもそもインサイトとは

インサイトは直訳すると「洞察」や「物事を見抜く力」などを意味します。そして、マーケティングにおけるインサイトの意味としては、「人を動かす隠れた心理」を指しています。消費者自身も気づいていない無意識の心理ですが、認識すれば行動を起こすでしょう。
WOWOW コミュニティマーケティング専門ブログより

 つまり顕在ニーズと潜在ニーズとも異なり、潜在していることにすら自覚の無い心理のレイヤでのことをさしているようです。

 今回の例は社会におけるインサイトを汲み取って、「言語」という記号に落とし込み社会に対してコミュニケーションしていった高度な成功例だと思います。

参考

経営学者の松井剛さんのnoteや書籍を合わせて読むことをオススメします。今回のnoteを書くにあたってもたくさん参考にさせていただきました。


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