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三途の川でエトセトラ

仲良しだった祖母が亡くなった。
85歳だった。
高齢だし、なんせ孫がもうアラフォーなのだ、無理もない事だ、と自分を納得させようとする。

もう会えないという悲しみとともに心配だったのは、

「三途の川、ちゃんと渡れてるのかしら」

というところ。

何かトラウマでもあったのだろうか。
祖母はとにかく水が怖いという人だった。
一説によると、三途の川は東京から神戸ほどの川幅があるらしい。
死に装束でよぼよぼの老婆がどうやって渡るんだ。

クロール?平泳ぎ?案外背泳ぎ…
難易度高いぜ。

誰か迎えに来てあげて、そちら側の関係者!

誰が来てくれるんだろう。
先に逝ったおじいちゃん、ひいおばあちゃんなのか。

色々調べてみると三途の川は、初めてを捧げた男性が手を引いてくれる、という説があり仰天する。
かの『蜻蛉日記』(著:藤原道綱母)にもその記述があるそうだ。

一見なかなかロマンチックである。
初めての彼。長年連れ添った旦那。
感動の再会に懐かしい甘酸っぱい気持ちで渡る三途の川。

だけど、川べりで、「うわ、お前かよ!だったら自力で渡ってやるわ!」、はたまた「…誰やねん」なパターンも繰り広げられていそうである。(こっちの方が多い気がする)

「処女なんで舟出してもらえます?」
みたいなめんどくさい女子もいるかも。

だいたい男性サイドも人によっては何度も川を行き来せねばならず疲労困憊であろう。
男たちよ、女子のアレを奪う時は、心して挑んでくれよな。
死んだあと大変そうだぞ。

おばあちゃんは、誰と渡ったのだろう。
祖母の胸キュン三途の川渡りを願いながら。

編集:アカヨシロウ

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