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その男バツ3につき

浮気と暴力は一発アウトだけど大丈夫?

茶化すわたしに彼は言う。

もうバツ3だしバツ4なんて怖くない!

え?本当に大丈夫…?

みんなそんなもんだよ。

…!?

交際3ヶ月にしてこの会話である。すでにする気満々やないかい。分かっちゃった…離婚理由もこれ系だな。

バツ3であることは聞いていたからある程度覚悟はしていた。それでも「元妻たちには我慢ならなかったけど私は大丈夫!」な理由だったらいいな、て甘い期待をしてたんだ。だけどこちら全国的にムリなやつだった。

そういや彼は、「好きなタイプ」は「寛容なひと」だと言っていた。
何回結婚しても酒グセと女グセ治らなかったんだろうな。だからそれを赦してくれる「寛容な」パートナーを探していたんだろう。バツイチくらいなら「今度は大丈夫」とか言うだろうし本人もそういう心持ちでいるだろう。しかしバツ3ともなるともうわかっている、相手が変わっても自分はそうそう変われないのだ。

自分の浮気癖がどうしても治らなくて…

酒飲むとつい家族殴っちゃうんだよね…

なんて交際初期の彼女に言わないだろう。
どうせ本当の事は元妻たちに聞きでもしないと分からないから、とわたしもわざわざ問い詰めた事はなかった。

以前、彼がバツ3…と話したら両親は半狂乱に。

そんなの人格に問題があるに決まってるやろ。絶対に会わん!!

更には

もっとましなやつおるやろ。一緒に探そ。

とか言う始末。37歳結婚できていない娘の市場価値を完全に見誤ってはいるではないか。こっちは穴場狙っていくしかないんじゃい。それに元妻たちの教育だろうか、料理や掃除、家事全般完璧、養育費を差し引いても充分すぎる収入、見た目も合格ライン。話も合うし、いいかな、と思っていたのだが。

あーこの期に及んで調整めんどくせぇな。

鬱陶しいので親には、

「へいへい了解!別れますわ!(ぷい)」

とだけして距離を置いていた。

しかし、だ。彼は先刻の話の通り浮気も暴力もやる気満々らしい。そうなってくると結局親の言っていることが正しかったって事になって、(ぷい)が気まずい。

そうこうしているうちに彼の浮気が発覚し、私たちは別れてしまった。そして彼は今も懲りずに四番目の妻を一生懸命探している。

子供が欲しい。

彼は言う。

もういるじゃん、ふたりも。

いるよ。今度は幸せに育ててみたい。

彼には前妻との子どもがいるのだが、色々事情があって会えていない。

お母さんにひどいことする父さんに子どもはなつかないと思うよ。

言おうかと思ったけど、やめておいた。

バツ3に幸あれ。

文 べみん
編集:円(えん)

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