母とお菓子のはなし。
そんなLINEが入ったのは、誕生日の6日前。
母からだ。
今月は予定が立て込んでいて、1ヶ月に1回は帰っている実家に帰れそうにない。
そしておととい荷物を発送したから月曜日の夕方、受け取るようにと連絡が来た。
今日、夕飯の豚汁の味噌を溶いていたところでインターホンが鳴った。
受け取った荷物を開けると、抹茶セット一式の隙間を埋めるようにお菓子が入っている。
じゃがりこ、堅揚げポテトブラックペッパー味、コロロぶどう味、こんにゃくゼリーぶどう味、アルフォート、フラン、紅茶オレ。
「すきなものばっかりじゃん」
もれなく、私の好きなお菓子で溢れている。
きっとこのお菓子たちは、母が毎週買い出しに行く隣街のあのスーパーで、母がひとつずつ選んでカゴに入れていったんだと思うと、とてつもない母の愛を感じた。
特段、言葉に出して「これ好き」と言った覚えはない。でも、実家に帰るたびに母と夕ご飯前に食べていた堅揚げポテトだったり、小さい頃から、アイスはぶどう味から先に無くなることだったり。母は私のことを誰よりもよく見てくれている。母の愛を感じながらコロロをひとつ口に入れた。
豚汁を食べ終え、こたつでうたた寝して目覚める。時計を見ると、母が仕事から帰っている時間になっていた。
電話をかけた。
まったりした口調の母が出た。
荷物が届いたお礼を伝えて近況報告。
私からは誕生日のこと。
母からは、母の職場のこと。
「まだ電話してるの〜」と、後ろからお風呂の順番を呼ぶ父の声も聞こえる。父にはお米の種まきの予定を確認した。
今月は予定が詰まっていることを伝えると、
「楽しいのはいいことだ。若いうちしかできないこともあるからね。好奇心があるのは若い証拠。」と、柔らかい声で母は言った。
働きすぎないでね。
ぼちぼちやろうね。
そう言い合って、電話を終えた。
LINEの画面には`音声通話 43:03'の文字。
43分とは思えない、あっという間の時間だった。
まずは、元気で楽しく生きていること。
そして、3月はちゃんと顔を見せに帰ろう。
誕生日から早3日。
この世に私を産み落としてくれた母の声を聞いて、私の28の誕生日はようやく完結した気がした。
そんな今日のはなし。
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春瀬
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