20代でクルマを買うならリセールバリューを気にしたほうが良いっていう話

 筆者は都内某区在住で公共交通で都心まで数十分で移動できる環境である。移動でクルマを使う機会はほとんどなく、公共交通が使えず天気が悪い、大人数で同時に移動というような状況が生まれない限りほとんどしない。そのうえ、都内はどこに行っても渋滞だらけで電車等の公共交通を使ったり、安全面から推奨はされないが、すり抜けのできる二輪で移動したりする方がクルマに比べ早く、安く目的地に到着することがほとんどだ。
クルマがいらない生活を送っている故にその贅沢度合いの高さを感じる。
 筆者と同世代(といいつつしばらく前の話であるが)の新成人の自家用車保有率は16.0%で客観的にみるとクルマを持っている人は少数派であるといえる。さらに都市部の保有率は7.1%で所有者は稀有といっても良いかもしれない。

出典:ソニー損保「2022年 新成人のカーライフ意識調査」

 余談ではあるが、購入予定または購入意向ありと答えている人は都市部・地方問わず50〜60%と高いうえ、その割合に差がないことから「今は持っていないけれど、いつかは欲しいよね」という憧れ的な要素も含めて半数以上の人がクルマが欲しいと思っているようだ。購入予定または購入意向のないものの理由として「購入費用を負担に感じるから」が第一位にきていることからカネさえあればクルマが欲しいということであろう(笑)。

都市部と地方で自家用車保有率に差があるのをみても分かる通り、筆者のように都市部在住で必要のない地域と公共交通の乏しい地方地域があり、後者いついては欲しい欲しくない已然の問題でクルマが無ければ日常生活に支障をきたすというものである。公共交通に恵まれた都市部在住でクルマが欲しいだとか保有している経済力がある人には今回の内容は関係ない。クルマに大した興味はないが、持たざるをえない環境の人向けの内容である。

本題に入るが、クルマが趣味であるとか強いこだわりがあるもの以外は「リセールバリュー」を気にしてクルマを購入した方が絶対に良いと思う。特に我々20代の若い世代。
まず、リセールバリューとは何か。一度購入したものを販売する際の、再販価値のこと。乗用車などを使用後、中古車販売店や、新車購入時の下取りとして、販売するときの価値のことである。
つまり、自分の買ったクルマがある程度時期を重ね、距離を走った状態でどのくらいの価値があるのかを気にしろということである。
意外にも周りで気にしない人が多いのとクルマによって大きくリセールバリューに差があるので今回この内容で執筆している。
ではなぜ、20代がリセールバリューを気にしてクルマを買う必要があるのか?

ライフスタイルの変容が他の世代よりも頻繁に起こりうる点

 大きなところはここ。制度利用の有無は関係なく結婚したり、子どもが生まれたり、それ以外にも家族の介護や子どもの友人の送迎等々…というライフイベントがおきたときに、1〜2人で乗るようなクルマを所有していると買い替えが必要になる。このとき所有しているクルマのリセールバリューが高ければ、下取り額が高くなるので次のクルマの購入の大きな補助になるのだ。

年上の世代に比べ、収入が少ない点

 現代の日本の収入が上がらない・格差がある等々の問題は置いておいて、基本的には年齢・キャリアを重ねることで収入が増えることがほとんどであろう。故に20代の収入は上の世代に比べ限られているので、クルマの購入は大きな支出になるのだ。上記の通り、買い替え時や現金化が必要な際にリセールバリューの高いクルマを選んでおくことで失う自己資産を最小限にできる。

大きくこの2点があげられる。
では、どのようなクルマが高いリセールバリューを期待できるのか?基本的に需要と供給のバランスや海外需要など様々な要素はあるが、一般的な特徴をあげる。

セダンではなくSUV・ミニバン!

 セダンに比べて、SUVやミニバンは需要が高く、価値が下がりにくい。
特定の車種をあげるとトヨタ・ハリアー、ランクル、アルファード、レクサス・RX、LXはグレードにもよるが群を抜いてリセールバリューが高い。また、軽自動車ではホンダ・NBOXや現行(2022年5月現在)のスズキ・ジムニーのリセールバリューが高い。トヨタ系の贔屓をしているわけではなく、トヨタ系は本当にリセールバリューが高い。それ故、窃盗団の狙う車種も上記が多い。取られるときはどんな防犯設備を施していても取られるので、上記車種は車両盗難保険の加入が必須になることも忘れずに。

奇抜な色を選ばない

 リセールバリューを考えると車体の色は白か黒の2択。メーカー・車種で違いはあるが、一般的にはこの2択で選んでおけば間違いない。全く同じ状態(年式・距離など)の車種でも、白・黒と赤・青・黄などの奇抜な色では新車価格は同じでもその後の価値は大きく変わるのである。理由は簡単で奇抜な色よりも白・黒を欲しい人が多いからである。

EV(電気自動車)やPHV・PHEV(プラグインハイブリッド)は選ばない

 脱炭素化が広まりをみせており、国産メーカーもEV(電気自動車)やPHV・PHEV(プラグインハイブリッド)のラインナップを増やしてきている。今後、発展していくジャンルではあるが、現時点でこれらの車種のリセールバリューは信じられないくらい低い。特定の車種をあげると日産・リーフ、三菱・アウトランダーPHEV、トヨタ・プリウスPHV、テスラなど。
外部充電のできないプリウスはリセールバリューが平均〜やや高いというところであるが、比較してPHVはリセールバリューが低い。
 理由は大型のバッテリーを積んでいるので劣化時に走れる距離が少なくなってしまうからである。スマートフォンのバッテリーと同じく充電・放電を繰り返すことでリチウムイオンバッテリーは劣化していく。スマホであれば修理に出せば安価で簡単に交換できるし、その辺のコンセントで充電すれば良いが、クルマはそうはいかない。交換には大きな費用がかかり現実的ではなく、頻繁に充電するにしてもあちこちに充電スポットがあるわけではない。充電にも時間を要するので待ちが生じるのだ(自宅に充電設備を設置すれば人が食う寝るの間に充電できるので待ちは生じない)。
 ガソリンやディーゼルに比べ、走行の費用は安いことが多いが、充電スポットや利用する充電カードにより費用は異なり、トータルで考えると大きくコストメリットがあるとはいえない。日産・リーフ向けに提供されていた定額・充電し放題のZESP2は距離乗ればコストメリットが高いといえたが、現在は提供終了している。
 加えて、高速道路のSAには充電器が設置されているのだが、GWや盆など利用者が多い場面では利用者が多く、自身のクルマの充電時間に加えて、先にいるクルマの充電時間も待たなければならない。
加速感や静粛性など魅力的な面も多々あるが、現時点ではデメリットがメリットを上回っている為、需要が少なく、リセールバリューが低いというのが実情である。

某SAのGW中の様子。白の日産・リーフが先のクルマの充電待ちをしている状態。
撮影:筆者

外車は選ばない!

 若い世代のなかにはBMW・ミニやFIAT・500など他の車種にないオシャレでカワイイデザインの外国車に惹かれるものもいるかもしれない。しかし、上記にあげた車種に限らず一般的に国産車に比べ外国車のリセールバリューは低い。理由は年数が経過し、距離走っている車両は故障率が高いからである。車両のリセールバリューが低いうえ、買った後の維持費がかかる可能性が高いので安易に手を出さない方が良いといえる。

まとめ

 ここまでつらつらと書いたが、結局何を買えばいいのか?
1人で移動するならホンダ・NBOX、軽自動車は嫌ならトヨタ系SUV、大人数乗せるならトヨタ・アルファードを選んでおけば間違いがない。グレードについてもケチらず上級グレードを選ぶ
クルマの購入予定者は皆、意識する必要があると思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?