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世界はこんなにも広いのに、わたしたち人類ときたら

割引あり

数カ月前くらいに、メンタルクリニックを変えた。変えた先のメンタルクリニックのすぐ近くには、昔ながらの模型店があった。中高生のころに少しだけプラモデルにふれていたことがあったのと、いまはギルティギアでブリジットを使っていてハイパーヨーヨーが欲しいなと思っていたこともあって、お店に入ってみた。時間もなかったのでガンプラのコーナーを少し見ただけでなにも買わずに終わった。けれど、そこから少しプラモ熱が再燃して、10年前に買ったHGUCのHi-νガンダムを押入れから引っ張り出してきた。一部のパーツが組み立てられていて、一部のパーツにはサーフェイサーが塗られていて、ほかは手つかず、とても中途半端な状態で眠っていた。もう塗装や合わせ目消しなどをがんばる気力もないけれど、このまま眠られておきたくない、どんなにへたくそでもいいから完成させたいと思い、本当に、ただただ残りの組み立てを終えてひとまずの完成とした。スミ入れ用のペンがあったからそれで少しスミ入れをした。消しペンを買ったら、はみ出た部分などを消す予定。

そんなこんなで、次はHGのエアリアルとかF91、RGのストライクフリーダムやエヴァ二号機が欲しいなと思っているところで、Primeにプラモ番組があるのをたまたま見つけた。2023年1月期に1クールだけテレビ東京系で放送されていたようで、芸人とバンダイスピリッツ発祥(?)のアイドルがプラモ屋に行ったりプラモづくりを体験するという番組っぽい。名前は『プラモにめされて』。日本のお笑い文化とアイドル文化自体に苦手意識があるため観るのはためらわれたけれど、それを押しのけるくらいの好奇心があったようで、この前、第3回まで観た。

今回書きたいのはこの第3回のプラモ屋めぐりコーナーで起きた出来事について。コーナーでは、なすなかにしという芸人コンビとLINKL PLANETというバンダイスピリッツのアイドルグループのうちの2人、計4人がとあるプラモ屋の取材をしていた。そこで店主自身が現役モデラーで、作業場がとても整っていたことを受けて、なすなかにしのどちらかがアイドルの1人に「こず キレイで器用な男はどう?」と問いかける。
わたしが気分を害したのはこの瞬間だった。店主とこずと呼ばれる小橋川梢さんのGIもSOも不確かなまま、シスジェンダーでヘテロセクシュアルの男女が合コンで交わすような雑談を第三者が番組の『笑い』のためにぶっこんできたのだ。最初に書いておくと、芸人や番組スタッフからしたら「その程度で」とか「こんなんどこもやってる」と思うことと思う。実際、どこもやってるというのはそうなんだと思う。わたしは基本的にテレビを見ない生活をしているので実態をよくは知らないけれど、ネットで垣間見るテレビ番組の様子はそんな感じだし、実生活でもこのような場面に出くわしたことはある。けれど、上記のようなコミュニケーションが「その程度」と思われている現状や「こんなんどこでもやってる」状況自体が人権意識の低さを表しているわけで、気づいてしまった、見てしまった者としては気づいたときに、できる範囲で異を唱えていくしかない。
また、ここでは小橋川さんが仮にこの質問を不快に思っていなかったとしても問題となる(不快に思っていたとしたらそんなのは問答無用でアウトでしょう)。なぜなら、ある「男性」(実際のSOGIはわからない)の「よい」とされる特徴が判明した途端に、近くにいる「女性」(実際のSOGIはわからない)にその「男性」は恋愛対象としてどうかと聞くことはどちらに対しても失礼なことではなく、むしろ笑いを生んでその場を和ますことができるという一つの規範として働いてしまうからだ。ここには、個々人のSOGIに対する軽視が根底にあるのであり、ゆえにこうした規範が広まることでセクシュアルマイノリティへの差別が広がる可能性がある。というより、いま現在そのような差別はいたるところにはびこっているわけで、その差別に抵抗したいわたしとしては、上述のようなコミュニケーションをテレビが流すことはあまりにも人権意識に欠けるものだと思われる。

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