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2021年 心を揺さぶられた言葉3選

2021年は仕事を通じて出会った人から心を揺さぶられることが多かった。激動のご時世だからこそ、私自身も一旦立ち止まって本来の生き方、考え方、仕事の仕方を考え直す機会が増えた気がする。糸井重里さんは「自分より面白そうな人に会いに行け」と言っているが、自分より面白そうな人と話しているとハッとさせられることが少なくない。今回は年の瀬に、2021年に個人的に心を揺さぶられた言葉3選を共有したい。

1.「仕事の枠にはめる前に、一人の人間として360度対峙する」

日頃から「縦割りを打破しないと時代に置いていかれる」「仕事に枠をはめるな」「公務員こそ越境せよ」と言っている自分が、市の看護協会の会長から「自分の中に枠をはめないで」と言われたのはショックだった。きっと無意識のうちに自分なりに思考を狭めてしまっていたのだろう。伝えられたのはこういう意味だ。「自分の仕事は〇〇で、この範囲だ」と定義づけた途端に、それ以外のことは自らのアンテナがキャッチしなくなる。自分の立ち位置を明確にして自分ができる仕事を全うしようとする姿勢が前面に出てしまうと、それ以外の部分に目がいかなくなる。しかし、人間はあらゆる人が多様な側面を持っている。元気な時もあれば調子が悪い時もある。長所もあれば短所もある。言えることもあれば言えないこともある。限定された(自分に都合の良い)側面のみをキャッチしては、本当に良い仕事ができない可能性がある。表面的に捉えた情報から生んだ成果を語って満足なのですか。そういったメッセージだった(そこまでは言われてないけど)。

職員たるもの、その人の人生全てを何とかすることはできない。しかし、「目の前の人に360度の画角で対峙し、あらゆる情報を感知するつもりで接し、そのうえで自分ができること、自分以外の誰かができることを選別していく、という順番が大事だ」というメッセージは今年最も心を揺さぶられた一言だった。仕事に向かう時の意識の持ち方、人との接し方を変えさせられた瞬間だった。

2.「やりたいですね」ではなく「やりましょう!」

部署は異なるが仕事を一緒にする機会が多い同僚からもらった言葉。プロジェクトのアイデア出しやコラボレーションの相手方との会話において、前向きに進めたい話が出たとする。そんなとき、私は自然と「やりたいですね」「いいと思います」というセリフを使っていた。同僚は「やりましょう!」と言い、瞬時に意志と覚悟を見せていた。もちろん相手のテンションが上げるのは後者の方だ。私はなぜこんな言葉を使っていたのか。社交辞令で意図的に言った言葉ならともかく、本当に良い話なのに「やりたいですね」「いいと思います」と言ってしまう背景には、「忙しさから十分に時間が割けないかもしれない」「もしできなかった場合はどうする?」という自己防衛の心理が働き、自分に対して言い訳ができる状況を作りたかったのではないのだろうか。慎重に諸条件を検討して最終結論を出す姿勢は一見誠実なようで、別の角度から見れば主体性のない責任回避の姿勢でもある。「やりましょう!」と言って進めてみたら、諸条件がネックになって変更や中止をすることになることもあるだろう。それでも、「やりましょう!」と言って実現に向けて全力を尽くす姿勢を見せてくれた人に対して、誰が非難する気持ちにはなるだろうか。対外的な発表は別として、関係者間の会話であれば、まず曇りのない「やってみよう!」という姿勢を打ち出すことで、尊い雰囲気が生まれる。細かな違いかもしれないが、仕事の姿勢は大きく違う。これこそ自分に必要な姿勢だと気づかされた一言だった。

3.「仕事もプライベートも同じで、信頼できる人としか時間を共にしない」

近年は、仕事とプライベート、ワークとライフを分ける派と統合する派が混在している状況だ。仕事の性質や各人の仕事観も異なるので一概にどちらが良いと結論付けられる話ではないが、こと地域づくり、地域共創においては、仕事もプライベートと同様に信頼できる人とのみ意味のあること、楽しいこと、やりがいのあることを積み重ねていくことが大事で、その先に仕事の成果や自らの成長がある、と強く感じた。この言葉は実際に地域共創に取り組んでいる方の一言。仕事だから・・・、プライベートだから・・・と付き合う人や人間関係を分けすぎて考えてしまうと仕事が「お仕事」になってしまい、結果的に成果が出にくい状況が生まれてしまう。どうも仕事は与えられた役割をこなそうとするあまり、人間的なことよりも機能的な側面(持っているもの、できること)に焦点を当ててしまいがちだが、人と人との信頼関係があってこそ良いものが生まれるのは、仕事もプライベートも共通している。人間性と信頼関係、という人としての原点に立ち返って仕事をすることをこれからは一層強く意識したいと思う。

社会や地域を良くする人と信頼関係を築くには、何より自分自身がそれにふさわしい人間でいなくてはいけない。最終的に問われるのは、自分という存在そのものがどうあるかだ。そのために人間性を磨き続けることが何より大事だと改めて感じさせられた一年だった。

ここまで読んでくださったすべての方へ、2022年が素敵な年になりますように!

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