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タワマンに住まう


不動産広告のポエム風なタイトルにしてみました(笑)

私は昨年まで約1000戸もある「大規模マンション」に住んでいました。
つまり、1000世帯、数千人が住むマンションです。そこに新築時から約10年間住んでいたのですが、その内の2年間ですがレアな経験をしました。

それは、マンションの理事になった事です。

正確に言えば、なりたくないけど、抽選に当たってしまったのですが、、それなりに学ぶ事も多く貴重な経験でした。


理事会にいったら、そこは会社だった


理事は全部で30名ぐらいいて、その中に副理事長2名、理事長1名の三役、そして監事(≒監査)で構成されていました。そもそも理事会の目的と言うか、ミッションはうろ覚えですが、大きく2つだったと思います。

・マンション住民の快適で充実した生活の確保
・マンションの資産価値の維持向上

このミッションを遂行する上で、絶対に遵守するルールがあります。所謂マンションの憲法のようなもの。それがマンションの「管理規定」です。それに則って毎月1回理事会を開催し、あらゆる事を審議し判断していく事になります。

当時はそれに加え「委員会」があり、理事会の下部組織的な位置づけとして各領域(修繕部、共有部、災害部などなど)に分かれ1-2回/月集まってその領域内の問題について審議・判断(権限外のものは理事会決議へ)する組織運営を行っていました(理事は必ずどこかの委員会への参加が必須)

つまり、2-3回/月はマンションの理事の活動が発生するのです。更に辛いのは想像以上に毎月の理事会での議案が多い事です。

正直、私の会社より多い(笑)。

絶句するぐらい小さい事から大きい事まで、毎月2-3時間かけて審議をしていました。結構な負荷だったと今でも感じます。

と言うのも、マンションの管理規定はあくまでも、憲法のように詳細な部分まで定められていない事も多いし、10年以上前の更に入居前に作られたものなので、現状にマッチしていない内容も多くあるのです。その為、詳細な判断は基本的には理事会で決議、また規程内容を変えるような重要な議案は年1回の住民全員が参加可能な総会決議となります。

ここまで聞いて感じたと思いますが、もはや「会社」なんです。

月額管理費(カネ)を何に使うのか?
誰(ヒト)がサポートするのか?(委員会/管理会社/その他)
何(モノ/サービス)を購入又は導入するのか?

限られたヒト・モノ・カネをマネジメントしながら、マンションの将来価値を維持または上げていくと言うミッションを考えると、会社経営に近いものを感じました。

ただ、やる気を出せば出すほど、会社経営以上に難しい役割でした。


理由は、分かり易く言えば「共通意識化」「組織化」されていないからです。

考え方や参加意識の差は勿論、家族構成、年齢、人種、収入や職業も職種も異なる人たちが月に1回~3回しか会わず(全員と話す訳ではない)、且つ住居期間も異なる。

その状況で住民の多くに喜ばれ、マンション価値を向上出来る運営をするのは至難の業です。特に理事長含め三役は本当に大変だっただろうなと今では尊敬と感謝しかありません。


マンションは日本の縮図


これは数千人が住む大規模マンションだからこそ感じた事だと思いますが、とにかく色んな事が起こるのです。そこには、今の日本社会の問題そのものが表れているなと痛感しました。ここでは書けない事も多かった…

まず、30名の理事はパッと見た感じですが、40-50代の男性中心でした。当時30代だった私は若い方でした。これは日本の人口ピラミッドとほぼ同じ構成です。なので、審議でもその世代特有の価値観が強く出る事があります。

理事会によく出る議案として(10年も経っている事もあり)、共有部分の経年劣化や今後の災害への対策、備蓄品の判断や住民同士のコミュニケーション活性化などが多かった印象があります。

また、住民の入れ替わりも多く住民同士のトラブルも少なからずある訳ですが、そこには出身国の違いによる根深い問題があったりと多種多様です。ちなみに、ゴミ置き場に貼られている注意書きは、日本語 英語 中国語 韓国語の4か国語で書かれていました。

当時は最新だったITインフラ・システム関連も10年も経つと劣化が進み、総入れ替えを検討したり。本当はもっとライトにリプレイス出来るはずですが、専門家がいない事で議論も進まず結果的に業者のほぼ言いなりでした。

直近では民泊問題やカーシェア導入(車を手放す人が増加)で議論があったり、月額管理費・修繕積立費の未納者や滞納者(ごく一部の住民)の対応など精神的にも疲弊する問題も発生していました。

そして、何よりも一番の大きな問題は大規模修繕の問題です。いつ、どこまでやるのか、いくらかけるのかは勿論ですが、大変なのは業者選定でした。専門家が少ない為、外部コンサルと契約しコンペして業者選定して契約するまで数ヵ月掛かりました。担当の理事は本当に大変だったと思います。更にその後は住民説明会での説明&質疑応答もあるのです…(反対する人も一定数いる訳で)

これらを責任感持ってやり遂げる事は住民としての義務であり、入居時にそれに同意している(ほとんどの人が認識していないですが)とは言え、正直しんどいです。所謂、フリーライダー問題も発生するので、判断も難しく精神的にも厳しい役割なのです。

そして、この役割を無償でやるのは更に辛い。むしろ、お金貰ってもやりたくない人もいると思いますし、お金払うので理事を辞退したいと言う人も過去にはいたそうです。

ちなみに、管理会社はあくまでも理事会のサポートと普段のマンション管理業務が仕事なので、マンション運営(理事会運営)はあくまでも理事会、つまり住民が中心となります。

よくマンションは管理会社が重要と聞きますが、それ以上に「理事会運営が大事」だと声を大にして言いたいと思います。


これからの高齢化や専門家不足、大規模震災の可能性、働き方の変化(在宅/ワーケーション)、外国人や賃貸住居者の増加、管理費の滞納などあらゆる問題が発生する中で、マンションの理事会運営は意外と重要なテーマだと感じています。

私には専門的な知識がないので詳細は分かりませんが、もっと外部の専門家に運営を委託する事や役員への報酬&評価のセット運用などで改善出来ると思います。勿論、リスクもあると思いますが、私としてはそれ以上にビジネスチャンスを感じました。

この先、またマンションに住むか分かりませんが、仮に住むなら確実に理事会運営には注目したいですね。

ではまた。





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