見出し画像

水の空の物語 第1章 第1話

プロローグ


 この世にある、きらきらしたもの。

 風花ふうかはきらきらを見るのが好きだ。

 悲しいことが多い世の中だから、光を見たい。それは風花の願いだ。



 春の川原で、風花は彼に出逢った。

 彼、……夏澄かずみのきらきらは、風花の心をいっぱいにした。

 透きとおって、薄水色に広がる川面。その水辺に立つ夏澄。

 きらきら澄んだ瞳で、周りを優しく見つめていた。

 なぜかとてもふしぎな風景だった。見慣れている川原がとてもきれいに見えた。

 彼がいるからだ。彼はそこにいるだけで、周りを浄化するような雰囲気を持っていた。

 ……あの人、きっと人じゃない。
 風景はなぜか、なぜかまっすぐそう信じた。

 まぶしくて、彼から目が離せなかった。

 たくさんのきらきらを、夏澄は風花に見せてくれた。幸せをいっぱいくれた。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?