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DMM.make AKIBAで創業したハードウェアスタートアップが1年間で感じたこと

前置き

MizLinxの野城です!去年の4月に最初のnoteを投稿してから早くも約1年が過ぎようとしているため、MizLinxとしてこの1年を振り返りつつ、最近のMizLinxを記録として残しておきたいと思います。

ちょっと大変なことも含めて「こんな感じか~」と思ってもらうとともに「自分ならこうするかな~」と思考実験とかしながら楽しんでもらえたら、と思って書いていきます。

MizLinxのこの1年を振り返る

2021年
4月 スタートラインに採択・DMM.make AKIBAでの活動開始
5月 ロゴ完成・カメラの実装・Japan Tech-based Venture CompetitionでNEDO賞を受賞
6月 実験用プロトタイプの開発
7月 未踏アドバンスト事業に採択
8月 株式会社MizLinxを設立
9月 プロトタイプのアップデート
10月 マリンテックグランプリでニッスイ賞と日鉄エンジニアリング賞を受賞
11月 気仙沼にて洋上実験(10月から1か月間)
12月 S-Booster2021にて第一生命賞とHonda R&D賞を受賞
2022
1月 長崎県の大村湾にて実証実験開始
2月 未踏アドバンスト事業成果報告会
3月 長崎県のたちばな湾にて実証実験開始

機器開発、現場での実証実験、ビジネスとしてのブラッシュアップを常に繰り返しながら、着実に前進してきました。

最近のMizLinx

最近は学生メンバーも増えたほか、経験豊富な技術顧問もMizLinxにジョインしました。

「まずは実証に必要な機能を!」と常に手を動かすプロトタイプ的な開発が続いていましたが、最近では技術顧問の助言を受けながら、信頼性のある機器開発を行なうための開発体制の整備などを行っています。

機器については、機器の内部設計のマイナーチェンジを行いました。その新たな機器で養殖場の中を撮影し、養殖業者の「目」としての機能を実証するため、先日、長崎県のたちばな湾にアップデートした機器を設置するとともに、現場の養殖業者の方々から現状の課題や今後の可能性についてヒアリングしました。

実際に映像を見てもらうことで、自分たちだけでは気づくことが出来ない養殖業のプロ目線でのフィードバックが得られ、次の開発につなげる種となり、早速アップデートに取り組んでいます。

このあたりの話も追々の記事で語られることだと思います。では、ここから本編。

研究と事業

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大学における研究はその過程で仮説検証を繰り返しますが、事業も全く同じです。 しかし、研究の場合は基本的にテーマという形で目の前の問いが決まっている一方で、事業の場合はこの仮説検証を行う問いが非常に流動的になります。

技術的に機能を達成するだけでは十分とは言えず、それをユーザーが満足するレベルのプロダクトとして洗練していく必要があるのです。実際には対技術の活動と対人間の活動が複雑に入り組み合っており、それがハードウェアスタートアップの難しさかつ面白さだと思います。

MizLinxの現状として、そもそも実証実験として置いてもらえるものを作るというレベルには達しつつあります。今度はそれを継続的に使ってもらうにはどうすべきか?本当に養殖業者の方々にとって価値のあるデータの取得と処理はどうすべきか?など、考えるべき問いは尽きることがありません

ゴール

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皆さんは生活する中でどのように目標を立てていますか?そもそも、ゴールは人間の行動を促すために設定するものです。しかし、多くの人間がいる組織にとってはゴールを設定するのもなかなか難しい作業でもあります。

最終的には世界中の人が幸せになればいいと思うのですが、そのためのアプローチは無限にあります。資源・インフラ・環境…など、枚挙に暇がありません。しかし、ゴールを「資源を守る」としてしまうと、次に何をすれば良いのか分からなくなってしまいます。一方で、「○○の××という資源を△△という技術で守れるか□□という方法で検証する」のように細分化しすぎると、それは組織として行動する必要があるのか疑問符が付きます。すなわち、丁度いいゴール設定が重要な気がする、ということです。

さらに、ゴールは到達するまで繰り返し確認する必要があります。これはリーダーが大きな声で言い続けることが有効です。とにかく全員の耳にタコができるまで言って丁度いいくらいだと思います。特にモノを作っていると、時間に追われることもありゴールを見失いがちなので、刷り込むくらいでいいのかもしれません。

初期のスタートアップは船団のようなもので、先頭を航行する代表野城の船と同じ方向を向いたそれぞれのメンバーが自分で自分の船を舵取りをする必要があります。大企業のように一つの船が大きいわけでも高性能な設備があるわけでもないからこそ、メンバー個人が責任を持って次の寄港地を探す必要があります。その際、山に登ってしまわないためにも、針路は頻繁に確認しましょう。

ということで、今はMizLinxのゴールが「海洋資源によって経済的・技術的に豊かになった海洋立国日本を実現する」という所を丁度いいゴール設定としています。この刷り込みはもっとやっていいかなと思うので、ここで試しておきます。

「海洋資源によって経済的・技術的に豊かになった海洋立国日本を実現する」
「海洋資源によって経済的・技術的に豊かになった海洋立国日本を実現する」
「海洋資源によって経済的・技術的に豊かになった海洋立国日本を実現する」

何度も聞いてると到達できそうな気がしてきませんか?

リソース問題

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様々な場所で応援してもらえるというのは、学生の特権の一つです。その応援に応えられるよう、必死に開発をして機器を実証実験に送り出すわけですが、常に目の前にやらなくてはならないことが沢山ある状態が続きます。

一方、学生は授業・研究・就活など、事業以外に時間を奪われてしまうことがままあります。組織形成についてメンバーで議論する際にも、リソースが安定しないことでその難易度は格段に上がるなあと感じるばかりです。

逆に、人数が少ないからこそ自分の意見や行動がダイレクトに結果として返ってくるのは今のフェーズだからこそ得られる面白さだと思います。MizLinxでは定期/不定期で集まって今後の開発方針や事業計画について話し合っています。専門外のことも含めて全員の意見がフラットに扱われるので、まさに自分の一言が今後のMizLinxを形づくることになります。

最後に

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DMM.make AKIBAのホワイトボードの前で行った侃々諤々の議論を思い返しながら、普段は表に出てこなさそうなことを書いてみました。振り返ると、より良いプロダクト・より良い組織を作ろうとMizLinxに関わっているうちに、逆にMizLinxという場を通じて自分が引き上げられていることに気づかされました。

ということで、MizLinxに興味を持った、もっと深い話を聞きたいという方はぜひ代表野城までTwitterのDMなどからご連絡ください!

ではまた来月!

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