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『伯爵のおるすばん』Mrs.fictions

2022年8月24日(水)19時開演
@吉祥寺シアター
¥4,500

Mrs.fictionsとの出会いは2017年のオムニバス公演『15 Minutes Made Anniversary』。
そして2019年、初めて観た本公演『伯爵のおるすばん』(再演)が衝撃的におもしろくて感動&ボロ泣き。以来チェックしている劇団なのだ。
そしてその演目がまた上演されるという。が、伯爵役は若い女性とな。前回伯爵を演じた岡野康弘さんがとてもよかったので残念、且つそれって成立するんだろうかという不安。まあ何とかしてくれるんだろうけども。
っつー訳で、不安と期待をぶら下げて初日に行ってきた。

 ずっと死ななかった彼のこと。
 一八世紀の終わりごろ、不老不死の男として歴史にその名を残した稀代の詐欺師サンジェルマン伯爵。もっとも彼が詐欺師だったのはほんの百年ほどの間だけで、あとの長い長い人生はただただひっそりと、日陰を歩むように暮らしておりました。
 近世、近代、現代、近未来、それからずっと気の遠くなるような未来を経て、宇宙の全部が静かに終わりを迎える最後の瞬間までの間、永遠とも思えるような時間をずっと、何一つ成し遂げられず、惰眠と後悔にまみれて生きていた彼と、彼が愛した幾人かの話。

公式サイトより

結論。
やはり脚本が良いので、しっかり楽しめた。
笑いどころたっぷり、ずっとケラケラ笑ってたのに最後はグッとくる。うおーん。

でもやはり、彼女が演じる伯爵はどう観ても華奢な女の子なので、違和感はずっと残ったままだったな。特によっちゃんとの話は男同士だということに意味があるんだけど、それがちょっと判りにくいというか。
キャストの前田悠雅さんは好演だったし、ひとつ前の講演『花柄八景』での燐ちゃん役がとても魅力的だったので好感を持っているのだけど。
SNSで感想を掘ってみたけど、この件について触れてる人はいなかったので私だけなのかな。アタシが2019年版のイメージを追いすぎなんだろうか。記憶を無くしてまっさらな状態で観たらどう感じるのかな。

前回伯爵を演った岡野さんは、まさかのブルボン役。ええーっ?!
やはり岡野さんはすごい。特に女顔でもないオジサン(ごめんなさい)がドレス着て貴族の奥様だなんて、出オチのギャグになりがちなのに全く危なげないのがすごい。コメディ感はあるものの、しっかりしっとり奥様になってる。ほんのりコケティッシュですらある・・・。 好き・・・。
伯爵が56億7千万年も想い続けるだけの魅力を備えてるよね。

56億7千万年てことは伯爵は弥勒菩薩?
ラストシーンで世界の終焉を迎えて、伯爵がお疲れさま飲み会で衆生を救済するとか。いや、そういう話じゃないんだろうけどw
56億年生きて、何ものも成さなかった男の話、でいいんだよね。そして、とても愛おしいひと。
永いながい年月の、壮大なお話。コミカルで笑わせるところも多いけど、なんて哀しくせつない話なんだろう。
伯爵が不老不死と判った時のブルボンは、彼の行先の苦しみを憂い悲しんでくれた。聡明であたたかいひとだなあ。アタシはこのブルボンのセリフが好きだ。何もわかってない伯爵が無邪気に笑うのがせつない。抱きしめたくなる・・・。

思い出しながらストーリーを反芻してたら込み上げてきちゃった。鼻がつんときちゃうぜ。
悲しいだけじゃなく、最後は「みんなで飲み会」。あたたかい気持ちでフィナーレ。“丘を越えて”が何とも絶妙にマッチするなあ。涙がこぼれても顔を上げ、微笑みながら草をふみわけ歩くイメージ。
このお話がとても好きだ。
きっとまた上演されたら観にいこう。

観終わって堪らなくなり、DVDと戯曲を買ってしまった・・・
映像って家でなんて、全然観やしないのに。買ったからには観てやる(強い気持ちで宣言)!

今回ご出演の面々、伯爵とブルボン以外はどなたも存じ上げないのだけど、サイトにも当日パンフにも配役が載っていない。役者さんの名前だけ羅列されても、どの役なのか書いてないのでわからんちんよ。ざんねん。
購入した戯曲には配役が載ってる!・・・けど、2019年版だったので今回の配役は結局わからないままであーる。
追記:当日パンフに載っているQRコードから配役表が見られます!
ご指摘くださった岡野さん、ありがとうございます。
当パンちゃんと読みなさいアタシ!!

そういえば役名がみなお菓子メーカーなのは何か意味があるのかな? クッピーラムネのカクダイ製菓とかフエラムネのコリスとか、けっこうマニアックなのでは(ニヤニヤ)。
戯曲に載ってた配役表にハリ坊ってあったのも笑った。HARIBOおいしいよねww

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