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小説

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自筆の小説(散文)
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2020年6月の記事一覧

あの瓶の中のあの透明の

スイカの種を飲み込むと、お腹で種が育って口から芽が生えるからちゃんと吐き出すんだよ。そ…

相川 実
4年前
6

架空請求

架空の100万円が振り込まれた。さて、このお金で何をしよう。折角の牡丹餅だ。やったことのな…

相川 実
4年前
3

ちりちりぼん

 5月に越してきた家の冷房を1ヶ月経って初めて使ってみたら、なんだか変な臭いがした。一度消…

相川 実
4年前
5

喪われる私たち

 私はこの町を知らない。ずっと我が家に帰りたいと願っている。愛する家族の暮らす家に。それ…

相川 実
4年前
4

私はあなたの体温しか知らない

真っ白な部屋にふたりきり、閉じ込められて、殆ど口を利くこともなくて、でもずっと背中合わ…

相川 実
4年前

ひとつ屋根の下心

「なんかさぁ俺、分かっちゃったんだよね」 彼はパンツ穿きながら、食パンを焼く私に話しか…

相川 実
4年前
4

遊覧

梅に桜に紅葉、いろいろな花を共に見て、季節を巡った。 四季には色がついていて、生活は彩られていくこと。そんな当たり前を知った。そこにはたくさんの生き物もいて、私たちは顔を見合わせて笑ったりもした。 歌にした桜も、挿した菊も、素朴で丁寧な生活には美しく息づく。名前を忘れてしまったあれも、あなたに教えてもらったそれも、すべてが私たちのためにあるようで、嬉しくて堪らなかった。 公園に出かけようといったあなたの後ろを歩く私。この季節に見られる草花はなにかしら。そんなことを考

タイムカプセル

「宝物をね、この中に入れるの。それで、10年後の今日に2人で一緒に開けましょう。そうしたら…

相川 実
4年前
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