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【 男子宝石 】#毎週ショートショートnote

 目が覚めると、留置場の中だった。なぜか俺は、すぐに研究施設に送られた。
「教授、俺はいったい」
「君は男子特有の病“宝石病”を発症しながらも、理性が働いている稀有な存在だ。宝石病は、体が硬化する物質を消化しなければ死に至る。その物質を消化するものは、犯罪。犯罪の重さで、消化の量が変わってくる。殺人ならかなりの日数、日常生活が送れる。
 君は、宝石病で理性を無くし女性を襲っていた男子を処分していた。君は殺人を犯しているが、ゴミを掃除していたようなものだ」
「俺が、殺人? 訳が分からない」
「どうも君は、その時の記憶を無くしているようだ」
 暫く経ち、記憶が戻った俺は刑事と共に、宝石病を発症し女性を襲う男性の息の根を止め続けた。
 何年もそんな生活を続けていたが、殺すたびに俺の中に毒素が溜まっていたようだ。ある日の朝、ついに俺は、体のあちこちが固まっている事に気が付いた。食堂にやってこない俺を心配し、部屋に教授がやって来た。俺は教授の顔を見るなり、涙があふれ出た。
「そろそろだ。今まで本当にありがとう。君のおかげで私の研究は随分進んだ。もう、休んで」
俺は寝たきりになり、そのうち声も出せなくなった。最後に皆に会いたかったなと思いながら、目を閉じた。それきり俺は、目を開ける事はなかった。    
 「君は凄い。人の形のまま、こんなに透明度が高いダイヤモンドになるとは」
教授が、そっと呟いた。
                            (582文字)

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皆様、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

すみません、遅刻しました。
今回のお題は、難しすぎました。
アイデアが全く出ない日々を送っていました。毎日、ノートの上でシャーペンをトントンと。
 
(画像のイラストは、「イラストボックス」様よりお借りしました)
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