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【毎週ショートショートnote】夜からの手紙


 朝人は校門まで来ると、くるりと振り返り校舎へ向かって一礼した。親の仕事の都合で転校する朝人は、今日がこの学校で過ごす最後の日だった。

 学校を目に焼き付けるようにじっと立ち尽くしていた朝人に声を掛けてくる人がいた。

 「朝人君!待って!!」
 息を切らしながら夜が駆けてきた。
 「夜ちゃん、どうしたの?そんなに慌てて」
 「だって。朝人君、今日で最後だって聞いたから、私…」
 「親が転勤になってついていく事になったんだよ。ほんと、急だよな」

 夜は、少し泣きそうな顔をして持っていた紙袋を朝人に手渡した。
 「昨日転校の事を聞いて、こんな物しか用意できなかったけど」
 「ありがとう」
 「じゃあ、元気でね。私、朝人君の事忘れないから」
 夜は朝人に小さくバイバイをして、また校舎に向かって駆けて行った。

 夜がくれた紙袋の中にはCDと手紙が入っていた。

朝人君

転校すると聞きました。
とても寂しいけれど、仕方ないですよね。
私が大好きなCDを朝人君にプレゼントします。
良かったら聴いて下さいね。
私、朝人君の事が好きです。
こんな時じゃないと言えないので、言っちゃいます。
転校しても、元気でいてね。

 朝人は手紙を読んで、優し気に微笑んだ。そして、スマホを取り出すと手紙に書かれていた連絡先を入力した。


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今週のお題は「夜からの手紙」です。



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