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【青ブラ文学部】焼き鳥屋にて~雨の七夕


 今夜ここに来れば会えるような気がした。

 二人で一緒に行った住宅街の焼き鳥屋さん。炭火の煙が上がる店内は全然おしゃれじゃないけど、食べ物がとてもおいしい。大将は寡黙でも人のいいおじさんで、お客さんとの距離も近い居心地のいいお店だ。

 私はここにあれから初めてやって来た。

 店の中には願い事が掛かれた短冊や七夕飾りが下げられた笹が飾られている。
 「いらっしゃい。あれ?久しぶりだね。今日は一人かい?」
 「お久しぶりです。はい。一人なんでカウンターでいいですか?」
 「まあ、座んなよ。生でいいかい?」

 大将から生ビールの入ったジョッキを受け取ると、ゴクゴクと三分の一程を一気に飲んだ。
 「あー、おいしい!大将、5~6本適当に焼いてもらえますか?それと枝豆下さい」
 「あいよ!ちょっと待ってな。その前に、これ試作品だけど食べてみな」
 大将は私の前におつまみを置いてくれた。
 「とってもおいしいです。ありがとうございます」
 「いいって事よ。今日は久しぶりに茉奈ちゃんが来てくれたからな。それにしても、せっかく七夕だっていうのに雨が降っちまったな」

 串を食べながらビールをおかわりしつつ飲んでいると、大将が言った。
 「そうそう、こないだな、三上くんが来たんだよ。こっちに出張で来たからって。しばらくこっちにいるって言ってたっけな」

 三上くん。その名を大将から聞くと、とたんに心臓が高鳴るのが分かった。

 三上慎吾は2年前に別れた私の元カレだ。転勤の決まった慎吾に一緒に来て欲しいと言われたけれど、仕事を続けたかった私は付いていく事ができずに別れてしまったのだ。その時はそれが最善な選択だと思っていたのに、この2年間ずっとどうするのが正解だったのか考えあぐねていた。
 そのかん、心を動かされる人もできず、毎日のルーティンをこなすばかりで、心はずっとあの時に置いてけぼりのままだった。

 「茉奈ちゃん。これ食べるかい?女の子が来たら出してあげようと思って買っておいたんだよ」
 大将は、ぼんやり考えこんでいる私の前にケーキ屋さんのプリンを置いてくれた。このプリンはおいしいと評判で私も大好きなものだった。
 「大将、このプリンおいしいです。とっても人気なんですよね!」
 「茉奈ちゃん、これからまたお店に顔を出してな。みんな茉奈ちゃん来ないから寂しがってるよ。茉奈ちゃんはうちのお客さんにも人気なんだからさ」
 「はい、そうしますね。私もまたみんなとお話したいです」

 デザートを食べたからそろそろ帰ろう。
 結局、会えなかったな。
 もう慎吾との縁は切れているのかもしれないな。

 「大将、私そろそろ帰ります。お会計をお願いします」
 「茉奈ちゃん、短冊に願い事書いていきな。ギリギリだけどまだ大丈夫だろう。うちで願い事を書くとそれが叶うって評判なんだよ」
 「まあ、そうなんですね!じゃあ、私お願い事書いちゃいますね」

 私はペンを手に取ると、ピンクの短冊に願い事を書き笹の葉に括りつけた。そして、会計を済ませ引き戸を開けると、同時に慌てて中に入ってくる人とぶつかった。
 「すみません!」
 「こちらこそ……え?」


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青ブラ文学部に参加します💛
今回のお題は「雨の七夕」です。

最近、休みん俳企画に参加しまくっていて、短歌ばかりひねっていたので久々にショートショートを書きました。

いつもなら、こういうお題だとベッタベタな悲し気なお話を書くのですが。
今回はベッタベタだけど、ちょっと未来が明るめなお話にしました。
ああ、焼き鳥食べたいです。
ジョッキで生ビールも飲みたいなぁ。

こっちの焼き鳥屋さんは「焼き鳥」といいつつも何でもありなんです。
鶏肉だけじゃなく、豚バラだの牛下がりだの色々焼いてもらえます。
チーズをベーコンで巻いたチーズ巻きもうまうまです!
薄い豚肉で野菜を巻いた野菜巻きとかもおいしいんですって。
そして、酢醤油を掛けたざく切りキャベツがまたおいしいんですよねー。
あ、キャベツは勝手に出てきますんで^^
おかわり自由なんで、いっぱい食べられます。

👆 バラエティ豊富な串やたっぷりキャベツは福岡佐賀エリアなら食べられます😊🍺
他県はよく分かりませんが・・・💦



今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪



#青ブラ文学部
#雨の七夕

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