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Global Business Trend vol.15 | Vogueも賛同を発表した"15 Percent Pledge"とは?

人種差別撲滅が訴え続けられる今、グローバル企業は職場でより多くの有色人種(特に黒人)を採用し、企業の多様化を測ることを公言している。

例えばイギリスでは、#blacklivesmatterを受け、40もの企業のトップが声明を発表。Budweiserなどのメーカーを始め、Deloitte・KPMG・Barclays・EY・PWCなどの名だたるファームや、WPP・Saatchi・GroupMなど大手広告&メディアカンパニーが名前を連ねている。

アメリカでは、Brother Veillesというブランドで靴デザイナーをしているAurora Jamesが始めた"15 Percent Pledge"という運動が話題になっている。

Fifteen Percent Pledgeとは?

以前もチラッとこの運動について紹介したが、アメリカは、黒人人口が全体のおよそ15%を占めている。しかし、ビジネスで見ると、白人が経営する会社が全体の70%を占めており、黒人が経営する会社は9.5%。人口とビジネス経営率を同等にさせようと始まったのが、この運動である。

私は15 Percent Pledgeのインスタグラムアカウントを発足直後からフォローしているが、最近で認知度が飛躍的に拡大。4日前、VOGUEがこの運動への賛同を表明したことが話題になった

VOGUEは、採用するフォトグラファーやライター、その他フリーランスのスタッフの15%が黒人であるようにすることを表明。VOGUEは白人至上主義だと批判されることが多々あり、表紙撮影を初めて担当した黒人フォトグラファーが登場したのは2018年とかなり最近だ。VOGUEがこの決断をしたことで、ファッション業界に異変が訪れるか、注目したい。

黒人ビジネスをサポートすることで、社会を教育できる

以前書いた記事で、会社のトップを多様化することで炎上を防げるという話をしたが、黒人ビジネスをサポートすることも、似たような効果が社会的に得られる。小さいスタートアップのアイディアが大きな企業に奪われがちだという話も書いたが、大手企業の経営陣はほとんどが白人のため、黒人が経営する小さい企業から有色人種に刺さりそうなアイディアのヒントを得て、自分のビジネスに取り込んでも、その企業には自分ごと化できる人が少ないため、的を得た展開ができない可能性が大いにある。黒人ビジネスをサポートすれば、彼らが自分たちのアイディアをより多くの人たちに届けることができ、企業の規模で負けてしまう状況を防げる。

最近では、Victoria's Secretが黒人女性が経営する小さなランジェリーブランドのデザインを参考にしたことが発覚し、また話題になった。この商品のデザインは大衆的なため、特定の人種のために売り出されたわけではないが、もしこの商品が有色人種のために開発されていたり、文化の盗用だと思われた場合は、もっと問題になっていたはず。文化の盗用に関しては、とてもセンシティブなトピックで、多くの場合は、「その文化圏出身の人間であれば使用しても良いが、それ以外の人間はそっとしておくべき」というルールが存在する。白人のアメリカ人高校生が、ダンスパーティーにチャイナドレスを着ていって大問題になってしまった事件が、記憶に新しい。

"15 Percent Pledge"は、日本でも応用できるアイディア

15 Percent Pledge のような運動は、人種に限らず応用可能。例えば、日本の女性社長率は7.9%。考えてみるとこれは、先ほど述べた黒人経営ビジネスの比率より低い。「女性の社会進出」を押し出していた安倍さんは、昨日体調不良のため辞任を発表。2020年までに女性の指導的地位における女性の割合を30%にという政策もあったが、こちらも2030年まで延期されている。

この15 Percent PledgeのAurora Jamesのように、個人が動き出し、企業に賛同を求めるような活動を始める日が、日本にも来ているのかもしれない。

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