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Global Business Trend vol.2 |インフルエンサービジネスの今後

コロナウィルスが深刻化する中、様々なビジネスが打撃を受けているが、中でも最近注目を浴びているのは、セレブやインフルエンサービジネスの今後

「理想のライフスタイル」を提供するのがセレブやインフルエンサーの役目。しかし、コロナウィルスの影響で世界中の人々が、「理想」より「数週間前まで平凡だった現実」に戻りたいという願望を抱いて生活する中で、インフルエンサーという存在が時代に合っていないのではないかという声が出ている。人々が生活に苦しむ中商品を販売したり、自分の豊かな暮らしを自慢したり、感染拡大が叫ばれる都心から離れ別荘に避難している模様を中継したり。日本では「自粛」という文化があり、世間から「空気を読めない」と思われる行動に大して批判が集まる文化がかなりあるが、欧米でも今、この風潮は浸透している。

世界中の人々が平等に、コロナウィルスという見えない敵と闘う中、セレブも普通の人に見えてくる。New York Timesにも取り上げられている通り、セレブが空気を読まないアクションを起こせば、それは瞬く間に広がる。親近感を持てる行動をすると、高感度が上がる。すなわち、セレブにはもう、普通の人と同じような生活をしてほしい、と多くの人が思っているのだ。

また、コロナウィルスに打撃を受けた企業が、マーケティングや広告予算を大幅にカット。Influencer Marketing Hub によると、69%の企業が2020年の広告予算をコロナの影響でカットするという調査結果が出ている。大手ブランドのNeiman MarcusCath Kidsonが次々と店を畳まなければいけない状況や、旅行会社の不調を見ても、インフルエンサーが得意とする分野が打撃を受けているのがわかる。

それでは、今後、インフルエンサービジネスはどのようになっていくのか?見解は以下である。

1. Wellness分野でも、物理的なFitness(運動)系のインフルエンサーが伸びる
外出自粛が叫ばれる中、多くの人が自宅で効率良く運動できる方法を探している。最近私が注目しているのは、ブルックリン発のフィットネスストリーミングサイト、Obe fitness. インフルエンサーに値するほどのフォロワー数を持つインストラクターたちが、ミレニアルテイストなパステルネオンのスタジオでオシャレに指導をしてくれる。Pop pilatesを始めたblogilatesのCassey HoBBGトレーニングを開発したKayla Itsinessなども、今後また人気が出るかもしれない。

2.ペイドやスポンサー投稿ではなく、本当に良いと思ったものを紹介
フェイクニュースが流行し有り余った情報に疲れている人々にとって、ペイド広告やインスタグラムのスポンサー投稿は気分が上がるものではない。今は、本当に良い物、社会のためになる物を求める傾向が高く、繕った真実ではなく、本当に自分が良いと思うもの(authentic content)を紹介しているインフルエンサーが重要視されるのではないか。

3.参加型コンテンツを制作し、人々を巻き込む
昨年までTik Tokはティーン〜20台前半のためのプラットフォームと考えられていたが、多くの人が家で毎日を過ごす今、気軽に動画を作って発信できるTik Tokは暇つぶしにもなるし、クリエイティビティを発揮するのに踏み出しやすいプラットフォームとして、今は幅広い年代の人が使いこなしている。ここで思ったのは、インフルエンサーはただ人々に自分のライフスタイルを投影したり、物を紹介したりするのではなく、「視聴者を巻き込むようなトレンドを生み出せる能力があるか」という軸で見られていくのではないかという点。Tik Tokには色んな「チャレンジ」が存在する。好きな曲に合わせて振り付けをし、真似を促す仕組みだ。自分で振り付けた動画が流行れば、何万人もがそれを真似する。昨年Tik Tokで流行った "Renegade"ダンスは、14才の少女が振り付けをし、全米で大流行した。今では50万人以上のフォロワーがいる立派なインフルエンサーである。

4.ファンションやスタイル、旅行という見た目メインのコンテンツではなく、本やキャンドルなど、家で楽しめるニッチな趣味を紹介
家に篭る日々が続く中、「マインドフルネス」がより一層重要なキーワードになっている。キャンドルやアロマ系の市場が右肩上がりな今、「見える」コンテンツよりも「感じる」コンテンツが必要とされている。本のレビューや、キャンドルの香りと合うラウンジウェアなど、ただ「見せる」だけではなく、好奇心に訴えるようなコンテンツが主流になりそうだ。

5.「おうち時間」の活用方法を企業にコンサルティングする
上記で述べたよう、Tik Tokが流行し出したり、フィットネスコンテンツが人気を獲得したり、キャンドル市場が賑わっていたり、トレンドの変化は激しい。そこで、今後インフルエンサーは裏方に周り、企業のコンサルティングを行うのはどうか。元々エココンシャスが叫ばれていて「コンマリ」が大ブームだったアメリカ。その矢先に外出が減り、服を買っても着ていく場所がない中、物を買い保有することが幸せではないと気づく人が増えている。ファッショントレンドが毎シーズンごと変わり、多ければ年に4回もトレンドが発表される風潮は終わるかもしれない。そこで、これまで消費者と直接コミュニケーションを取っていたインフルエンサーが企業に対し、人々が求めているものや、流行っている考え方などをアドバイスできれば、win-winな関係が組めるかもしれない。


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