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Global Business Trend vol.14 |揺れるアメリカ!スモールビジネスと多様性

Twitterを開いたら、こんなツイートがトレンドしていた。

「もしあなたが、自分はもう老いすぎて何もできないと思っているのなら、思い出して。ジェフベゾスは、両親から29の時に$300,000(およそ3000万円)もらって起業したのよ。」

このツイートを見て感じことは、二点。一点目は、29歳でもまあまあ若いと個人的には思ったこと。二点目は、両親に3000万円もらって企業できるって、やはりベゾスは裕福だったんだな、ということ。実際にこのツイートの返事に、下記のようなコメントもあった。

「イーロン(マスク)の親はアパルトヘイトの中エメラルドの鉱山ビジネスに関わっていた。(ビル・)ゲーツの父親はアメリカで1番の弁護士事務所に勤めていて、母親はIBMの役員だった。ザッカーバーグの父親は、FBを始めるため息子に$100,000(およそ1000万円)を渡した。金持ちは金持ちを生む。」

世界有数の有名企業のトップらにもう一つ共通しているのは、全員白人で男性ということ。

アメリカは今、パンデミックをきっかけに、ビジネスオーナーの間でも人種によって閉業に追い込まれる確率が違うことが発覚し、波紋を読んでいる。

ビジネスと人種の関係性

Forbesによると、黒人が事業主のビジネスは、41%減少。ラテンアメリカ系の事業主数は32%減、アジア系事業主数は26%減となり、黒人事業主のビジネスは、白人事業主のビジネスと比べ、閉業に追い込まれる割合が2倍以上だったことがわかった。2月から4月までの、白人が事業主のビジネス減少率は17%にとどまっている。制度的な人種差別はもちろんのこと、リーマンショック以降黒人事業主は、ビジネスを軌道に載せるのに苦しみ続けており、やっと回復しそうな矢先に起きたパンデミックの悲劇だった。

この事態を改善するため、アメリカで若い世代から絶大な人気を誇る、民主党内で最左派に属するアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員は積極的にSNSを通じて、有色人種が事業主のスモールビジネスのサポートを訴えている。ファッション業界のご意見版、Diet Pradaのアカウントでは、アレクサンドリアがSecond Windというアパレルブランドをたずね、スモールビジネスの大切さや、マスクをつけることの重要さを訴えている様子が取り上げられていた。

ちなみにアレクサンドリアは、ザッカーバーグを、米下院金融サービス委員会の公聴会でタジタジにさせたことでも有名である。

アメリカ政治はポップカルチャー&SNSを最大利用?

アレクサンドリア氏やその他民主党で若い世代に人気を誇る議員たちは、SNSを駆使していることで有名。また、現在行われている民主党全国党大会の司会は「デスパレートな妻たち」で有名になったセレブエヴァ・ロンゴリアが担当し、ミシェル・オバマのスピーチは多くの若者世代を「ホームシック」にさせた。そして民主党大統領候補のジョー・バイデンは、ラッパーのCardi Bとファッション誌ELLEの企画インタビューで対談

政治・ファッション・音楽・セレブリティカルチャーの融合が目立つが、これはアメリカの若者人口(10歳〜24歳)がおよそ6500万人おり、その層の有権者への働きかけに力を入れているからだろうか(総務省のデータによると、近年の日本の10歳〜24歳人口はおよそ1765万人)。

どんな分野でも、トップ層の多様化が重視される時代

先日発表された、黒人女性初の民主党副大統領候補、カマラ・ハリス氏は、シリコン・バレーのビジネスからも人気があり、今後多くの企業が民主党へのサポートを表明し始めるかもしれない。ハリス氏の両親はジャマイカとインド出身。前回の記事でグローバル企業は上層部ほど多様化すべきと書いたが、アレクサンドリア氏やカマラ氏を筆頭に、アメリカの政治も、トップの多様化がどんどん進んでいる。

政治や大手企業幹部の多様化が進めば、有色人種が経営するビジネスへのサポートも広がり、閉業に追い込まれる割合の格差が埋められるようになるかもしれない。日々浮き彫りになる、人種の不平等問題。全分野でダイバーシティが叫ばれる時代に、ビジネスのビッグプレーヤーであるアメリカが今後どう変わるのか、注目していきたい。

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