綾瀬さんと真谷くん66「舞台裏」

そして迎えた本番の日。とりあえずメインで出るシーンは今終わって、カーテンコールに向けて衣装替えが必要な子たちのための時間稼ぎにエピローグ的なシーンが入れられてる。
オリジナルシーンだ。なんかロッドバルト役、ここでしか出番ないのかわいそうだよな……カラボス役にキスしてもらえるのは役得なのかもしれないけど。響の次くらいに可愛い子がやってるし。
そしてやっとこさカーテンコール。ここまででセリフ飛ばなくて良かった。目の前真っ白になるかと思った。
少し長引いたが何事もなく無事に終わった。
捌け側に小さく手を振ったロッドバルト役にキャーキャー騒ぐ女子たちがうるさかったなぁ。
というかカーテンコール中も観客の視線が僕に向いていた気がする。なんだったんだろ。
まぁそれも最後ロッドバルト役くんに全部掻っ攫われた訳だけども。
着ていた衣装を脱いで役名が書かれたプラケースに畳んで詰める。舞台袖の裏側から出て、静かに待機席に戻る。
結論から言えば劇は大成功を収めたと言えると思う。劇の本番の日時が夏休み明けから夏休み前へ急遽変更された時は驚いたけど、夏休みは受験勉強に本腰を入れないといけないし変更されてよかったと思う。
姉ちゃんのリモートでの扱きが倍になったのはちょっとアレだったけども。
まぁ今はそんなこと考えても仕方ないか。
僕は一旦考えるのをやめ、他の学年の劇を鑑賞していた。
ここで少し劇の舞台裏でも話しておくか。
終盤の響を起こすシーンで、目の錯覚を使ったキスのふりのトリックを使うと観客席の1部から黄色い声があがった。そんなに驚くことなのかな。
というか、誰の妹だろう、ちっちゃい子が
 「王子様! 王子様だよ!」
ってきゃらきゃらした可愛らしい声でこっちを指差しててとても気恥ずかしかった。

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