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綾瀬さんと真谷くん20「体育祭」

今日は体育祭本番だ。優勝出来るかどうかは正直かなり不安だがやりきるしかない。んで、最初に出るのは……うーわ3200m走か。初っ端からキツくないか? 頑張るしかないけど。最初の競技だから体力はセーブしておきたいし、足には自信があるから最後の方で一気に追い抜くとするか。段々と応援に熱が出てきているのがわかる。応援のウォーミングアップできてなかったのかよ。よしあとは最後のコーナーで一気に仕掛けるか。最後のコーナーにさし掛かった。ここから一気に加速して1位とってやるぞ! なんとか後続を突き放して1着でゴールした。大歓声の中天高く拳を突き上げた。すると観客席から大歓声。そのあとは生徒席に戻る。ジュディみたいにレモンが手渡された。誰だこのシステムこの学校にも導入したやつ。クラスメイトからは賞賛の声があがっていた。
「すごいよ優!相手もなかなか実力があったのに1着取れるなんて」
「まぁ体力には自信があるからな」
そんな会話を交わしながらほかの競技を観戦していた。
そのあとはメイン競技である借り物競走か。頑張らねぇとな…噂によればかなり変なお題が出てくるらしいし。
「さぁ本日の体育祭のメイン競技である借り物競走!参加する生徒はお題が入ってる封筒を拾って確認しましょう。確認したら紙に書かれていたものを私のところへ持ってきてください!それでは借り物競走スタート!」
司会進行と審査員を兼ねた文芸部の人が言う。お題が入った封筒を開けて中を見ると、そこには「好きな人」と書かれた紙が入っていた。おーう。マジですか……こりゃバレることになりそうだが仕方ねぇか。お題が書かれた紙を体操ズボンのポケットに入れて、生徒席へ向かう。クラスメイト達が、
「お題なんだった?」
と聞いてくるが無視だ無視。響の席に向かい、そっと耳打ちする。
「お題が好きな人って書かれてた。攫っていい?」
「そうですか、まぁいいですよ。どうせ体育祭でカミングアウトするって決めてたし、今でも後でもあまり変わりはないかと」
響が立ち上がると同時にお姫様抱っこをした。すると生徒席から悲鳴とも言えるどよめきが起きていた。
「嘘だろ……」
やら
「あいつら付き合ってたのかよ…」
やら
「俺、綾瀬さん狙ってたのになぁ…」
とかそんな声が聞こえるが無視だ。特に最後のやつ。動かないのが悪い。
「え、あの地味な真谷が何やってんだ?」
という不名誉な発言については後で真意を問いたださせて頂こうとは思うが。とうの響は
「わっ、優くん、近いって!」
びっくりしすぎたのか呼び方がちょっと前に戻っていた。可愛い。
にしても。カッコつけて抱き上げたけど、お姫様抱っこをしながら走るのってかなりきついなぁ……転けないように気をつけんと。落としたらそれこそ後からものすごく不名誉なことを言われるに違いない。
なんとか無事に1着でゴールした。審査員である文芸部のメンバーのうち、大人しそうな眼鏡っ子に見せた。きゅわきゅわしてた。響には程遠いがかなり可愛かったことを報告、って誰にするんだよこの報告……
「最初の合格者は一組の真谷くん&綾瀬さんペアです!」
そう審査員が言うと大歓声が起きていた。まぁ他もかなり変わり種だったみたいだしなぁ。え、校長先生何そのカッコ。なんで女装してるん?
「合格した人はみんなに秘密にしていることがあれば暴露しましょう!」
おいおい聞いてないぞそれは。まぁいいや。審査員から響へマイクが渡された。いや僕じゃないの? 一応参加者は僕だけど?
「私は皆さんに一つだけ秘密にしていることがあります」
そう響が言うと生徒席の方がざわついた気がした。まぁ学校のとは言わないまでも学年のマドンナ張ってるもんな。
「それは…同じクラスの真谷くんと付き合っていることです」


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