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ひとのなかの自然  自然のなかのひと

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#自然

ひとと植物をみつめて イギリス編 1

迷子のたぬき 朝の福岡空港にて、どこからか迷い込んだ一匹の若いたぬき。 完全人工のシャープな空間で、出口を探しながら地下への通路をただ走るしかない姿がすれ違う。 じぶんの存在が場違いなことを知るこころもとなさ。 出口を見つけたとしても、その先に広がるさらなる人工迷宮地帯に対処しなければならない彼を思うとなんとも絶望的で、バツの悪い思いで飛行機に乗り込んだ。 長くうつろな移動時間、座席ポケット冊子のひとつの記事が目に留まる。 Andre Kuipersというオランダ

ひとと植物をみつめて イギリス編 2

青と銀のひかりの国 移動に移動を重ねる時間が、内なる時間の壁を崩し、感覚だけを鮮明に浮かび上がらせる。 北へ、北へ、列車は上る。 遅い朝陽はなだらかな地平線から空をピンク色の兆しで染め、突如真紅の直線を射し乗客を沈黙させる。 レンガ色の小さな町並みが過ぎ、また過ぎ、海があ らわれる。 雲がかかり世界に影をさし、雲がいつしかおぼろに変わると、それまで灰色の世界に沈んでいたすべてが銀色に輝きだす。 しずかな、しずかな、銀の海に、空に、浮いた白い太陽の眼がふしぎにずっ

ひとと植物をみつめて イギリス編 3

森の記憶 遠い時代 かつて森がひとを囲っていたとき 森の声を聞き 森と生きるひとびとがいた 草木とはなし 夜は星々と語った 星への道しるべをわずかに並べて 忘れないように 忘れないように・・・    そしてやっぱり忘れてしまった ひとが森を囲うこの時代、文明の影響を免れている森林はこの星に残っていないだろう。 でも、どこかで覚えているのは、みかけよりもずっと熱い森の想い。 森の時代と比べればずいぶんとその活きを落としてたであろう地や川や木々。その森で、いま

ひとと植物をみつめて イギリス編 4

Kew Botanical Garden 木々と水とひとと動物と、誰もがなにからも侵害されることなく互いに関わり合いながら対等であれる、場。 クリアなひかりを受け、それぞれのものたちが安心してかがやき、 ひかりはひとつに、場を包む... …これはわたしたちが成そうとしている   ‘ ひとつののぞみ ’  …? わたしはまるで初めて見る異境でもみる思いで公園に長いこといた。ずっといたかった。 ちょうどオーストラリアとパキスタンでのテロが連日報じられ、たくさんの

エネルギーコレクション: 逆走台風エッセンス

ひとのお祭り 自然のお祭り ひとにとっては災いでも、地にとってはまつりの種 あの台風のにおい、なまあたたかい雨粒のつよさ 特別な何かを連れてやってくる! どきどき 嵐のあとの、抜けきって澄みわたった空と 生気を与えられた草木の輝きに  毎度ほれぼれ そんな子どものときの台風に対する直感を、ふたたび。 好奇心はこの特殊台風のエネルギーの質。 夜ガラス器を庭の木陰に置いて、やってくる台風の雨粒を採取。そのまま集めた雨粒を、澄んだ星空の星光と、朝陽にしばらく透して、