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人のもつ潜在的な特性ー読書のすゝめ①『逆ソクラテス』

伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』を読了させていただきました。
夕方に購入し、日が回るころには読み終わえてしまうほど面白く、引き込まれました。

この本は、表題作である「逆ソクラテス」を含む、計5編の短編小説が収録されています。多くは小学校時代の話となっています。

今回は読書記録も兼ねて、大学1年・教育学専攻の私が感じたこと、また学びについてシェアしたいと思います!

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子どもの「可能性」を信じ抜く

『逆ソクラテス』を読んで、教師の在り方について考えさせられました。
本書でも出てきた「教師期待効果」は、いわば教師自身の持つ偏見によって形成されていくといっても過言ではないと感じます。

子どもは、一日の大半を学校で過ごします。特に教師は、子どもが親以外に多くの時間接する大人ですよね。だからこそ、その子の持つ「可能性」をどこまでも信じ抜く大切さを本書から感じました。
本書で登場する「磯憲」先生は、小学校の時、こんな先生と出会っていたらなあと思わせんばかりの先生です。これから読まれる方は、ぜひ「磯憲」先生にもご注目していただけたらと思います。

「決めつけない」ということの難しさ

短編2つ目の「非オプティマス」をはじめ、作中に出てくるマイノリティの立場にある登場人物からは、人を見た目で決めつけないことを貫く難しさを感じました。
例えば、服が周りに比べてボロボロに見える人。本書でも登場しましたが、何か経済的な困難を抱えているのかなと思いがちです。
しかし、その人が何を思ってその服を着ているかなんてわからないですよね、実は他のところにお金を使っている人かもしれませんし。
そうは思っても、やはり心のどこかで「この人は○○なんじゃないか?」と思う節って、人間どこかしらあると思うんです。それが人間の特性ともいうべきものなのかなと。

この、自分自身が持つ「アンコンシャス・バイアス:無意識な偏見」にいかに気づけるかが、人と関わる上で、またマイノリティと言われている立場の人の気持ちを考える上で、大切なのではないかと感じました。
さらに、自分自身のアンコンシャス・バイアスに気づいた上で、どう行動していくかで人の真価が決まると感じます。難しいですね、、

ピンクは女の子の色?

「ピンク=女の子が好きな色」について、皆さんはどうお感じでしょうか。
本書には、「ピンク」と「男子」をめぐるエピソードが出てきます。

私が中学生の時、幼稚園生だったいとこ(男の子)の好きな色は、ピンクでした。いとこの周り(親戚)は何とかしてピンクから離れさせようとしていたことを覚えています。
ピンクが好きなのは女の子だ、という認識があったからです。

一方、自身の小学生時代に、自己紹介で、『私の好きな色はピンクです!』と言った男性の先生がいました。その先生の時計もピンク色でした。
小学生だった当時は、(私を含め)ピンク=女の子が当たり前だったため、みんな『なんで~~!?』と言っていたのを覚えています(笑)

今振り返ると、その先生が言った一言って、今も覚えているくらいなので相当なインパクトがあったんだなと思いました。それと同時に、その時代に言った先生は本当に凄かったんだなと思います。

なぜ、私が思い込み(ピンク≠女の子の色)に気づいたかは置いておき、「好きな色」の話って、多くの人が小学生の頃にすると思うんです。そのような、万人の共通点&現代のジェンダー観に注目してエピソードを広げる伊坂さん、本当に凄いなと感じました。一学生が失礼しました🙇🏻‍♂️

おわりに

本書には、みなさんお一人お一人が深く共感を覚える箇所がきっとあると感じます。教育に関心のある方だけでなく、万人にお薦めしたい書です。
ぜひ、『逆ソクラテス』を手に取っていただきたいです。

乱文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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