「すみません」より「ありがとう」?
なんとも腑に落ちる記事を見つけた。
昨今、なにかと悪者扱いされがちな「すみません」という言葉。
──他人から何かをしてもらった時に「すみません」と言うのは相応しくありません。それは謝罪の言葉だからです。
「ありがとう」に言い換えて、感謝の気持ちをはっきり伝えましょう──というような
謎のマナーが幅を利かせている。
いつ誰が言い出したのかは知らないが。
厚意を受けて
「自分のために相手に負担をかけてしまい申し訳ない、このままでは気が済まない」と考えるのは、日本人ならではの精神性である。
そこから自然に生まれる「すみません」という言葉を用いることの
いったい何処が間違っているというのか。
どんなシチュエーションでも
「ありがとう」に言い換えれば「みんなが」気持ちよく過ごせます。
「ありがとう」はポジティブな言葉ですからどんどん使いましょう、「すみません」はネガティブな言葉だからやめましょう。
…なーんて
そんなに単純な話では無いと思うのだ。
少なくとも私は
感謝される場面で「すみません」と言われたとて違和感はないし、まったくもって嫌な気持ちにはならない。
また「すみません」と同義で使われる「わるかったのー」「わーりぃのー」という越後方言には
「ありがとのー」と同じくらい、親しみやすくあたたかな言葉の響きを感じる。
自分のために配慮をしてくれた相手への気遣いが滲み出ていて、むしろ好感を覚えるところである。
日本の文化や日本人の精神性、地域ごとに伝わる方言などの
様々な要素を鑑みずに
「言葉狩り」のような真似をしたとして、一体なんの意味があると言うのだろう。
日々、真剣に言葉と向き合っていると、日本語の持つ奥深さに自ずと気付かされる。
人様の言葉遣いに物申すことなぞ、そう簡単には出来ないものなのだ。
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