膝上の贅肉が落ちない。

「贅肉」・・・なんという愁いを帯びた、そして同時に怠惰や諦めを感じさせる言葉だろう。贅沢な肉、と書いて「贅肉」。この言葉を生み出した人の言語感覚は素晴らしい。無駄な肉でも、憎き肉でも、余った肉でもなくて、贅沢な肉。気づかぬうちに私たちに忍び寄り、そしてあたかもそこにずっとあったかのようにしっかりと根を張り、ちょっとやそっとじゃビクともしない存在感を放ち、あげく我々の日常生活の動きを妨げてくる。そんなうれしくもない贅沢が、私の身にも舞い降りてきた。

妊娠するまでは、ずっと「華奢な人」で通ってきた。体質的にあまり太ることができず、骨が細いので多少肉がついても「痩せている人」認定され、またBMIはおおむね18ぐらいをキープしていた。だから、心のどこかで「私は一生贅肉とは無縁!」ぐらいに思っていたのが間違っていたのかもしれない。。。。

妊娠中に16キロの体重増加を経験し、水を飲んでも酸素を吸っても体重は増加(当たり前)。マタニティスイミングもやっていたし、妊娠前は毎日スポーツジムに通ってボディコンバットやらウエイトトレーニングやらにいそしんでいたので、その体重増加は私にとって青天の霹靂のようであった(妊娠しているから当たり前)。腹部だけでなく、背中、腰、そしてなんと「足」(Leg ではなくてFootのほう)にまで肉がつき、靴が入らなくなる、という事件までも勃発。この時、自分の身体に肉が付くんだ、ということをもっと胸に刻んでおけば、こんなことには・・・・・・・。

16キロ増えた体重は、出産後5年ほどでもとに戻った。体重は戻ったけれど、もちろん体形は変化した。腹部や腰部についた肉が落ちない。しかし、セオリーで買った3号のパンツがかろうじて履けたので、細かいことは気にせずに、再び「私は、絶対、太らない」マインドに戻ってしまったのだ。

出産してからだろうか(ちなみに私は30歳で出産した)、なんとなく脚を出しても格好よく決まらなくて、太ったわけではないのになぜに?と思っていたが、大好きだったショートパンツをはかなくなった。また、時を同じくして、「締め付け」全般が駄目になり(物理的にも、精神的にも。精神的な話はまた後日。)、GUNZE大好き、ウエストはゴムであることはもちろん、奮発して買ったブラデリスニューヨークのブラも全部捨て(もったいない)、伸びがよくて体のラインを拾わないスケータースタイル(おい、30代)に身を包んでいた。もちろん、ハイヒールも履かなくなった。

そんな生活を3年ほど続けたある日(それは昨日!)、お風呂あがりにボディークリームを塗っていると(そこはちゃんと気を使っている。個人的に、 ボディークリームを塗っているほうがたるまない気がする)、なんと、膝がないのである。焦って体重計に乗ってみると、私が自称している体重よりも3キロほど重い数字が表示されている。そして、もう一度、姿見の前に行って脚部を映し出す。

やはり・・・・膝がない。

膝上の贅肉が、文字通り「ぶよん」という形状で膝部に「のしかかり」、わたしの(かつては)可愛らしく小さな膝部を覆い隠してしまっているのだ!!!わかりますか!この衝撃!!自分の身体に当たり前にあると思っていたものがなくなった(正確に言えば「見えなくなった」だが、衝撃を受けた状態ではなくなったも同然に見える)ショックが!!!!!!

私ももうじき40歳。これが中年の入り口というやつでしょうか。膝がなくなったのは、まだまだ序章にすぎないのでしょうか。これから私は、肘を失い(あるいは焦がしたかのように黒ずませ)、フェイスラインを失い、臀部と脚部の境界線を失い、足首を失い(むくみがちなので、今現在も夕方には消滅)、そして最後の砦である手首まで失い、腹部はたるみ、なんだかゆるキャラみたいな存在として残りの人生を生きていくことになるのでしょうか。人は見た目で判断してはいけない、と、日々生徒に伝えているけれど、自分の見た目の急激な変化を快く受け入れるほど、私の心は成熟していないかもしれません。

これが時代が変わるということなのでしょうか。それとも、これを機に運動習慣を身につけ、「なんとかせよ」という神様からの啓示なのでしょうか。神様、ワタクシは運動が大嫌いであります。できれば足を車輪にしたいと考えるほど、歩くのも走るのも面倒に感じてしまいます。そんな私に、なぜそのような試練を!!!

「膝の上に贅肉がのっかっているのを発見した」ことだけで、2000字も書いてしまいました。作文指導の際、「日常生活の中から題材を見つけましょう」のよき手本となっているでしょうか。それとも、学習指導要領に掲載されている、「日常生活の中から適切な話題を選び」の例になるでしょうか。こんなくだらない文章を夜な夜なしたためて、毎朝「今日も眠いねー」なんて言っているとわかったら、みんな私のことを「ダメ教師」とののしるでしょうか。いいのです。誰になんと言われようと、私は膝上の贅肉を発見したことが今年一番の衝撃でしたし、できることなら運動ナシでなんとかしたい。そのためならなんでもする!と考えています。

運動ナシで、と書きましたが、それは無理な相談&不健康(つまり要介護認定されるのを早める)な選択であることは百も承知。だから、これから日々の歩数(今のところ毎日600歩ほど。仕事中は除く)を増やし、膝上の贅肉解消ストレッチやエクササイズを実行していこうと思います。Googleで検索したら死ぬほどたくさん出てきました。全部やったら2022年終わりそうなので、厳選します。

38歳からのアンチエイジング、がんばったら柏木由紀子さんみたいになれるかな。膝上贅肉解消ストレッチの効果やいかに。面倒くさがりなので写真に撮ってビフォーアフターなぞ一生しませんが、効果があったら小躍りしながらまた長文をしたためます。

追伸 やっぱりスマホで書くよりも、パソコンで書いたほうが筆がすすみます。

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