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【自分さがしvol.3】あるカフェで「時間」の積み木をみつける①
新木場にある、倉庫を改修してつくられたカフェ「Casica(カシカ)」。
このコンセプト「生きた時間と空間を可視化する」ずっと気になっていた。先日の佐野元春展の最終日、もう5年以上は気になりながら、遠くてなかなか行かれなかった「Casica」に、やっと足を運ぶことができた。
佐野元春の器、この何とも言えない、ふくよかで、まあるい形が暖かい。
「美しい」という言葉以外に、何か形容できるような語彙力がなくて、もどかしい。このHPに書いてあるとおり、「まる」という曲線のある形は、どこまでも深い。
さて、この「Casica」は倉庫を改修してるので、外観は本当に倉庫そのまま。いつか、この倉庫を使っていた会社の名前らしきものも、しっかりと外壁に残っている。
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中に入ると、倉庫らしい高い天井と、奥には観葉植物がたくさん置いてあるのが見えた。床は、コンクリート打ちっ放し。壁を立てる位置を示した寸法も、職人さんが書いたものだろう、しっかりと床に残っている場所もある。こういうものの中に、「時間」を「可視化」しているというコンセプトを感じる。
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古い家具が什器代わり。使い込んだ古木の上に、カトラリーや雑貨たちが、一つひとつ丁寧に並べられている。どこを撮っても絵になるような売り場。
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手入れが行き届いていることがわかる、葉の一枚一枚に埃がない植物。艶やかな緑と、個性的な形と斑、大型の花屋でもなかなか置いてないような、背の高いもの。ここの観葉植物売り場は、まるで森のようだった。
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そここに、「時間」を感じる。倉庫のどの部分が、そのまま残されているのかは分からないけれど、間違いなく、ある会社がここを使っていて、誰かが働いていた。そして誰かが、この空間をつくるために何かをした痕跡も、そこで手を動かして仕事していた。古くなった家具も、誰かが設計して、誰かが造り、誰かが使ってきたもの。
様々な人が関わった、その足跡が感じられるような空間で、和漢チャイを飲みながら、しばらくぼーっと過ごした。
自分だって、そんな大したことはしてこなかったっと思っていたけど、もし形として足跡が残っているならば、何かはちゃんとしてきたんだ。一つひとつ、目の間にある仕事には、一生懸命に向き合ってきたつもり。「大したこと」である必要もなく、何でもない日々の営みは、ちゃんとあったんだ。ちゃんと「積み木」を積んできた。それが今、どんな姿になっているのか、まだ自分ではよく見えていないけど。多分、まだ建設途中だ。
これからも、日々の「時間」の積み木を積んで、自分の世界観を作っていけたらいい。誰かの役に立てたら嬉しいけれど、始めからそれを求めず、表現することに挑戦しよう。
そんなことを思って元気をもらって、居心地の良い時間を過ごしながら、私は、一つの棚にあるバスケットが気になった。(②へつづく)
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