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No.3 労働契約(雇用契約)の本質

おそらく皆さんは考えられたことがないと思いますが、実は、労働契約(雇用契約)の本質は、労働者が「労働力という名前の商品を売り」、使用者が「賃金と呼ばれる代金を支払って買う」という売買契約なのです。


 即ち、スーパーやコンビニの店主がレジで「商品を売り」、客が「代金を支払って買う」状況と、本質的には何も変わらないのです。言うまでもなく、労働者であるあなたが「商品を売る」スーパーやコンビニの店主の立場、使用者が「代金を支払って買う」客の立場です。


 労働契約(雇用契約)の本質が労働力の売買契約であるという理屈を正しく理解している賢い使用者は、自分が使用する従業員労働者に対しても、レジに居るスーパーやコンビニの店主(あるいはその手足としての従業員)に対するのと同じ姿勢で臨みます。常識的には、礼儀正しい丁寧な態度を取るでしょう。


  しかし、労働契約に当然に伴う業務上の指揮命令関係を、身分的な支配服従関係であるかのように勘違いしている愚かな使用者は、自分が使用する従業員労働者に対して横柄で高圧的な態度に出ることがあります。その典型例がパワハラやセクハラです。


 「WIN-WINの関係」と「WIN-LOSEの関係」があると言われますが、どちらが原則、どちらが例外であるかは深く考えられておらず、その意味でとても薄っぺらい考え方です。
  残念ですが、生命の基本原理は優勝劣敗・弱肉強食です。即ち、「WIN-LOSEの関係」が明々白々の原則、残酷な真実なのです。


  例えば、使用者・経営者が、取引先に対する買い叩きや押し売りという、近視眼的な「WIN-LOSEの関係」を目指した取引を行えば、全ての取引先から取引を切られ、当然にその経営はたちまち傾いて破産します。


 それを理解する経営者は、取引先との「WIN-WINの関係」を目指しますが、これは飽くまでも意図的に作り出した例外的な状態です。しかも、その動機は、取引先に対する思い遣りなどという利他的な道徳心ではなく、自分自身の経営が傾いて破産することを避けようとする利己的な功利心に過ぎません。
 ですから、このような利己的な功利心を発揮する必要がない場面において、経営者が「WIN-WINの関係」を目指すことは、普通ありません。


 ところで、労使関係においては、市民社会における取引主体(取引先同士)の対等・自由の建前など、ほぼ全く通用しません。
 まず何よりも、労働者は、のんきに自分の労働力の値上がりを待って、売り控えできません。飢えてしまうからです。労働力が「最も腐り易い商品」と言われる理由です。


 取引先の変更(これまでの職場からの離職と他の職場への同一労働条件での再就職)も、極めて困難です。
 従って、これまでの不良取引先(不良使用者)を切ることができず、不利な労働条件での労働契約を続けて行かなければなりません。
 その結果、健康を害し、時に過労死・過労自殺までするような長時間労働や、残業代不払等のひどい目に、簡単に遭ってしまうのです。


 使用者から見れば、不利な労働条件でも労働者が文句を言わずに働いてくれるのですから、よほど思慮深い奇特な使用者でない限り、利己的な功利心を発揮する必要を感じず、例外的な「WIN-WINの関係」(労働条件の改善)を目指すこともなく、原則である「WIN-LOSEの関係」(不利な労働条件)が維持されます。


 余りにも分かり易いその典型例がブラック企業であり、労働組合未加入の孤立した労働者は、簡単に食い物にされてしまうのです。



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