No.10 従前の合同労組運営の欠陥
私たち「青空ユニオン」は加入していませんが、各地に存在する同種の合同労組(ユニオン)の全国連絡協議会があります。時々集会を持って問題を持ち寄り、色々と議論するのですが、どのユニオンも大体似たような運営で、同じ問題を抱えているようです。
それは、実際活発に活動する組合員が一部の者に限られ、他の組合員は単なるフォロワーとして組合費を納めるだけの二極分解があることです。その結果として、「組合費を納めるだけで、何の利益もない」として組合費を納入しなくなったり、脱退したりする組合員対策に、頭を痛めているようです。
実際の活動を活発にする一部の組合員は、通常は執行委員会のメンバーであるはずです。
もう1つ、組合から給料をもらっている「専従(組合員)」が組合活動を一手に担う形態もあります。これは「企業別労働組合」でもあり得る形態で、
「『企業別労働組合』の罪業」という別の項目の中に引用している城 繁幸氏の文章に出て来る「専従役員」は、この意味と解されます。
執行委員会は、労働組合の常設の意思決定機関です。そこに執行委員として参加しているメンバーが組合活動の中核を担うのが自然の流れですから、それ自体に問題はありません。
問題は、執行委員以外の一般組合員が単なるフォロワーになってしまうことです。
『和を以て貴しとなす』(実は本当の意味とは違って誤用されています)・『出る杭は打たれる』が支配的な日本社会では、強い同調圧力に流されてしまいがち、横ばかり見て自分の意見をキチンと主張しないことになりがち、何となく集団に流されてしまうことに甘んじて、集団的無責任にも陥りがちです。
労働組合の中でこの現象が起こると、「『企業別労働組合』の罪業」の項目で指摘したような、「少数の幹部だけで組合の方向性を決め、組合員はそれについてくるのが当たり前だ」という「上意下達」の考え方や、「会社に輪をかけたようなガチガチの年功序列組織」になる弊害が生じます。
『執行委員長=社長』『執行委員会=役員会』『組合員=平社員』という、全く論理的根拠のない、大いなる錯覚に陥っているわけです。
同様に、専従がユニオンの事実上の支配者(=社長)になっている場合もあると見られます。
逆に、献身的に働いてくれる専従が過重負担に陥り、それこそ労働基準法違反の状態で働いている悪例もあるようです。
いずれも「平等な組合員から成る民主的な団体」であるはずの労働組合の本質とは懸け離れた、大変不健全な病理的現象です。
なぜこのようなことが起きてしまうのでしょう?
おそらくこれは、合同労組設立の過程に遡る問題だと思われます。
1950年代の前半、各地で合同労組が設立されたのですが、実はこの際、企業別労働組合の連合体から、組合設立・運営に長けた指導員(通常「オルグ(organizerの略称)」と呼ばれます)が派遣されて、合同労組(ユニオン)の設立・運営の中心メンバーになりました。
それは良かったとして、どうも、その後、彼らオルグがユニオンの運営から引いて、ユニオン生え抜きのメンバーに運営を委ねようとする自覚的な動きがなかったようなのです。
その結果が、現在の、一般組合員の依存心や、「一般組合員は黙って俺(たち)に付いて来れば良い」という執行委員会や専従の大いなる錯覚になっていると見られます。
私たち「青空ユニオン」はこの黒歴史を深く反省し、組合員の二極分解が生じないように努めています。
執行委員は、
◎ 労働組合は平等な組合員から構成される組織で、執行委員会や執行委員長は組合員から選出された代表者に過ぎないこと
◎ 従って、執行委員長や執行委員会と組合員は、本来的に不平等の「上意下達」の関係にはないこと
◎ 従って、組合員が執行委員長や執行委員会に対して反対意見を言うのも基本的に自由であること
を強く自覚して、組合運営に当たっています。
逆に、一般組合員に対しては、
◎ 組合維持費が文字どおり「青空ユニオン」を維持するための必要経費であり、組合員が「青空ユニオン」を利用するための代金ではないことの自覚
◎ 他の組合員に関する団体交渉を始めとする「青空ユニオン」の活動への積極的参加
を求め、これに賛同されない方の加入は固くお断りしているのです。
こうすることで、「実際の活動を活発にする組合員が一部の者に限られており、他の組合員は単なるフォロワーとして組合費を納めるだけの存在になっている」という組合員の二極分解が避けられる、と考えています。
私たち「青空ユニオン」は、一般組合員以外の「サポート組合員」を積極的に受け入れます。
労働相談はこちらから。
相談される前に、青空ユニオンMiyazakiについて紹介した以下の投稿、特に「加入お断り」を熟読された上で、入力・送信して下さい。
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