見出し画像

No.7 加入お断り

以下のような人の加入は固くお断りしますので、そもそも加入申込をしないで下さい。


 まずは、 「青空ユニオン」に対する依存心だけで、組合員として積極的に「青空ユニオン」の活動(特に他の組合員に関わる団体交渉)に参加する意欲のない人です。


 これまで、「青空ユニオン」と“同類”の合同労組の宣伝文句として、『駆け込み寺』『いざというときに備えた保険』が使用される例がありました。いずれにしても、『自らは特に負担することなく、一方的に助けて貰える場所・仕組み』という意味合いです。


 しかし、「青空ユニオン」は、規約第3条(目的)のとおり、「組合員労働者の団結と相互扶助により、使用者に労働法制を遵守させ、組合員の労働条件を改善し、労働者の経済的・社会的地位の向上を図ることを目的とする組織」です。相手を一方的に助けて差し上げる『お助けマンクラブ』ではありません。


即ち、『自らは特に負担することなく、一方的に助けて貰える』『駆け込み寺』でも『保険』でもないのです。
  「青空ユニオン」では、一般的に『組合費』と呼ばれている組合員の負担金を、「(組合)維持費」と呼んでいます。


規約第30条1項に明記されているとおり、これは文字どおり「青空ユニオン」を維持するための必要経費であって、組合員が「青空ユニオン」を利用するための代金ではなく、『いざというときに組合から助けてもらうための保険料』でもないのです。


 この「利用代金ではない」という観点から、同条7項で、新規加入組合員に対し加入金の支払いを求めず、反面、加入月・脱退月の維持費の日割精算はしないことにしています。


 『駆け込み寺』『保険料』の発想をしている人は、通常、自分の問題が解決すれば組合から脱退します。『自分の問題が解決し、自分が困難から救われた以上、もはや組合に止まっても何のメリットもないのに、組合費だけを負担し続けなければならないのは不経済で馬鹿馬鹿しい』と考えるわけです。


 即ち、このような人は、そもそも『自分1人だけの利益』にしか興味関心がなく、「同じ立場の他の労働者と団結・連帯・相互扶助して、共通の問題を解決し、共通の利益を獲得しよう」という発想がそもそもないのです。

 しかし、この計算だと、組合費数ヶ月分(どんなに高額な組合費でも、数ヶ月分で数万円止まりでしょう)だけで問題を解決してもらえます。こんなに『美味しい話』は世の中にないでしょう。同じ内容を弁護士にでも依頼すれば、少なくとも十数万円、下手をすれば数十万円の弁護士費用を請求されます。


『駆け込み寺』『保険料』の発想が間違っていることは、この事実からでも明らかです。  繰り返しますが、「青空ユニオン」は、「組合員労働者の団結と相互扶助により、使用者に労働法制を遵守させ、組合員の労働条件を改善し、労働者の経済的・社会的地位の向上を図ることを目的とする組織」です。


 これに賛同せず、あくまで『自分1人だけの利益』だけを目指し『自分の問題が解決すれば組合から脱退しよう』と考えている人にとっても、「青空ユニオン」は大きな利用価値があるでしょう。しかし、「青空ユニオン」にとって、そのような人は全く存在価値がありません。よって、加入は固くお断りします。

 そのような人は、最初から「青空ユニオン」に加入しようなどとは考えず、相当額の費用を支払って弁護士にでも依頼されるか、あるいは『駆け込み寺』『いざというときに備えた保険』を標榜している他の組織を頼って下さい。


 次に、団体交渉権を悪用して、使用者に対して不合理な無理難題を押し付ける目的で、「青空ユニオン」に加入しようと考えている人の加入も固くお断りします。
 労働組合は、個々の組合員の単なる個人的利益・要求を追求するための道具ではありません。

 個々の組合員の利益・要求に客観的合理性・正当性がある場合に、それを組合全体の利益・要求として追求し、実現するための組織です。


 個々の組合員の利益・要求に客観的合理性・正当性がない場合に、労働組合の集団的な力、即ち団体交渉権を悪用してそれを使用者に押し付けることは、社会正義に反し、それによって労働組合の品位・名誉を傷付けて弱体化を招き、正当な要求を通りにくくしてしまいますので、絶対にやってはなりません。


 1つの例として、解雇された労働者が解雇した使用者に対して「生活資金の保障を求めたい」と考える場合について、考察してみましょう。
 別に詳しく解説していますが、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として認められない場合は、無効です。


 このように無効な不当解雇については、団体交渉で解雇の撤回を要求するのが王道です。解雇が撤回されれば、当然、復職して従前どおりの賃金を受け取ることになります。
 但し、その労働者が「こんな社長には愛想が尽きた。顔も見たくない」と、社長に対して強烈な拒絶反応を示す例もあります。


 しかし、転職後の労働条件がより悪化する例は多くあります。以前とは違って「青空ユニオン」のバックアップがある以上、もはや社長がその組合員を不当に攻撃することはできないのですから、基本的には復職をお勧めします。


 とは言え、セクハラやパワハラの被害者の中には、加害者に接するだけで激しい精神的苦痛を感じる方もおられます。そのような方に復職を無理に勧めるべきではありません。このような場合は、「解雇を撤回させて使用者都合の合意退職に変更する」という手を使います。


「合意退職に変更」すれば労働者の履歴に傷は付かず、「使用者都合」にすれば雇用保険受給の3ヶ月待機もありません。
 では、勤務期間が短すぎるなどの理由で雇用保険支給の対象にならない場合は、どうしましょうか?


 このような場合は、団体交渉で、雇用保険に代わる生活保障として、給与の数ヶ月分を使用者に要求します。使用者としても、裁判で不当解雇を争われれば負けてしまい、給与の支払を避けられず、オマケに慰謝料まで取られるおそれがあることから、渋々支払に応じることになります。


 それすら理解しない愚かな使用者に対しては、腹を括って弁護士などに依頼し、淡々と訴訟を起こせば、裁判上の和解として同じ結果になる場合が多いでしょう。場合によっては、普通の裁判なら貴方自身が全額負担しなければならない貴方の弁護士費用も、使用者に相当部分を被せることが可能でしょう。


 では、使用者が主張する解雇理由を検討した結果、客観的に合理的な理由であり、社会通念上も相当と認められる、正当な解雇であった場合でも、解雇された労働者が「生活資金の保障として給与の補償を求めたい」と考えた場合、「青空ユニオン」はどうするでしょうか?


 このような正当な解雇の場合、使用者に対して給与補償を求める法的根拠は何もなく、仮にその労働者が裁判所に給与補償を訴え出ても確実に請求棄却されます。
 それが明らかである以上、「青空ユニオン」は団体交渉により使用者に対し、その労働者が望む給与補償を求めることはしません。


 即ち、解雇が正当であれば、その労働者の使用者に対する給与補償の要求に客観的合理性・正当性はありません。
 従って、団体交渉権を悪用してそれを使用者に押し付けることは、社会正義に反し、それによって「青空ユニオン」の品位・名誉を傷付けて弱体化を招きます。


 ですから、「青空ユニオン」は、団体交渉により使用者に対し、その労働者が望む給与補償を求めることはしないのです。
 このように、労働組合が使用者に要求する団体交渉事項のうち金銭請求に関するものは、賃上げ要求等の純粋な交渉事項を除けば、


基本的に、残業代不払い、規定どおりの退職金の不支給、有給休暇取得拒否などの、裁判所にそれを訴え出れば確実に勝訴できる内容に限られます。
 企業別労働組合ではない合同労組が使用者企業に対して賃上げ要求等をする事態は想定し難いので、合同労組の団体交渉事項のうち金銭請求に関するものは、基本的に裁判所にそれを訴え出れば確実に勝訴できる内容に限られます。


それを、裁判等の手間と費用を省き、不誠実団交の不当労働行為のプレッシャーを利用して使用者に承諾を迫ることが、合同労組の金銭請求に関する団体交渉の主たる内容です。


 以上のように、団体交渉権を悪用して、使用者に対して不合理な無理難題を押し付ける目的で、「青空ユニオン」に加入しようと考えている人の加入も、固くお断りします。


 先に述べたように、「青空ユニオン」に対する依存心だけで、積極的に「青空ユニオン」の活動に参加する意欲のない人の加入は固くお断りしますが、これに関連して、貴方が「青空ユニオン」に加入するに当たり、「他の組合員に関する団体交渉に積極的に参加する」と誓約して頂いております。


 今この文章を読んでおられる貴方には、これまでの人生の中で団体交渉に参加した経験など全くないはずです。
 その結果、「他の組合員に関する団体交渉への積極的な参加を誓約することなど、自分には到底無理だ」と、ただ今この時、心配され、躊躇されていることでしょう。


  しかし、貴方のスケジュールが空いている日に、「青空ユニオン」が行う他の組合員に関する団体交渉の端っこにただ座って見ていることくらいは、できるはずです。
 貴方に何の予備知識もなく、何も予習していない状態でただ見ているだけでも、大体の状況や雰囲気だけは掴めますし、少なくとも紛争当事者組合員や交渉担当者の励み・応援にはなります。


取り敢えずは、それだけで十分です。どうですか、「端っこにただ座って見ているだけ」なら、別に心配したり、躊躇したりすることではないでしょう?


 最初は「端っこにただ座って見ているだけ」でも、そのうち、「これなら自分にもできるかも知れない」、「自分も他の組合員のために人助けをしてみたい」と思われるかも知れません。いや、多くの方はきっとそう思われることでしょう。


  例え話をしますが、ある強力な護身術・実戦格闘術では、皆さんがテレビなどで視聴されるスポーツ格闘技のようなパンチやキック、投げ技や、締め・関節技などを一切使いません。使うのはたった3つ、頭突きと、肘打ちと、握りこぶしの小指側の側面(肉の部分)を打ち当てる「鉄槌」だけです。


その場その場の状況に応じて、この3つの極めてシンプルな技を組み合わせ、相手を倒し、自分の身を守るのです。3つの技を的確に組み合わせて流れるように正確に繰り出すためには、相当の練習が必要ですが、頭突き、肘打ち、鉄槌という1つ1つ技の格好を真似ることは、貴方にも十分できるはずです。


  団体交渉で用いる技術は、これとよく似ています。さすがに3つだけとは言いませんが、数は決して多くありません。そして、要領さえつかめば誰にでもできるシンプルなものです。この点においては、頭突きや肘打ちや鉄槌と同じレベルです。


 熟練の交渉担当者がそれらの技術を駆使するのを横で見学し、その指導を受けてご自分でも実践してみられれば、比較的に短い期間で十分な技術を身に付けることが可能です。


  また、虎や猫のように基本的に単独で生きる動物ではなく、狼や犬あるいは猿などと同じく群れで生きる社会的動物である人間には、「仲間を助けたい」と考える愛他的・利他的な本能があります。


 もちろん、これ見よがしの偽善的なパフォーマンスとしての『愛他的・利他的』な、実際には私利私欲にまみれた行動も世の中にはありますが、愛他的・利他的な行動が全て偽善というわけでは決してありません。


 貴方のこれまでの人生の中にも、貴方の中にある本能が呼び覚まされて愛他的・利他的行動に出た経験が、多かれ少なかれあるはずです。それを他の組合員に関する団体交渉の場で発揮すれば良い、ただそれだけのことです。


 もちろん、そうは言っても、人の性格は様々です。引っ込み思案や、上がり症で、人前で話すこと自体がどうしても苦手で苦痛という方も、当然いらっしゃるでしょう。無駄口を叩かず、黙々と着実にひたすら仕事をこなす、そういう方々もまた、素晴らしい人格です。

 もしかすると、貴方はそういう方なのかも知れません。そのために、悪い使用者からセクハラやパワハラの被害に遭われたのかも知れません。


 「青空ユニオン」がそのような方々に対して、「団体交渉の場で、使用者に対してズケズケ物を言え」と強制することは、決してありません。そのような方々は、先に述べたとおり、「青空ユニオン」が行う他の組合員に関する団体交渉の「端っこにただ座って見ているだけ」して頂ければ十分です。


  どうですか? 別に難しいことではないでしょう?
  別に詳しく解説していますが、「青空ユニオン」が団体交渉権を最大限に活用・駆使して、組合員労働者の利益を実現するためには、1人でも多くの交渉担当者が必要です。


 貴方が「青空ユニオン」に加入され、優秀な交渉担当者に成長されて、他の組合員の利益を実現する愛他的・利他的行動を積極的にされることを期待します。
  同時に、貴方が「自分の性格上、それはとても無理」とおっしゃるなら、それはそれで構いません。


団体交渉の端っこに、ただ座って見ていて下さい。ただそれだけでも、交渉担当者の励みになり、通常は不安でたまらない紛争当事者組合員の背中を大いに押してあげることができます。それ自体が十分な愛他的・利他的行動なのです。


私たち「青空ユニオン」は、一般組合員以外の「サポート組合員」を積極的に受け入れます。

労働相談はこちらから。
相談される前に、青空ユニオンMiyazakiについて紹介した以下の投稿、特に「加入お断り」を熟読された上で、入力・送信して下さい。

https://note.com/miyazakiaozora_u/n/n6c2272f829ea




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?