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医療サービス開発の大切な視点

こんには、宮田です。

前回は、スマルナの3つの特徴の2つについてお話しさせていただきました。
2つのサービスについては、コミュニケーションの重要性についてを主にお伝えしましたが、そもそも「医療サービス」であるためには”医療システムである。”ことが必要不可欠です。
例えば、
システム障害が発生して診察履歴がなくなってしまうようなことがあると、患者様の症状がわからなくなり適切な処置ができない。
ということは起こってはいけないですし、
信頼した医師へのデリケートな話を医師以外の第三者が患者様(ユーザー)の同意がないまま情報の閲覧をしてしまう。
なんてことが発生したらそれこそ大問題です。
一見、どんなサービスにおいても共通するような「あたりまえ」なこと、のように感じられる方も多くおられると思います。
しかし、システムの機密性・完全性を第一としつづけるのは、ユーザー体験を損ねたり、ビジネスのスピードを鈍化させたりします。特に医療や金融の世界ではこのジレンマにぶつかることが多いように思います。そこで、運営側が「厳重で窮屈に感じる程度のシビアさで管理をするように意識すること」を機動性・UXと機密性・完全性の両方を維持する視点として大事にしています。医療サービスですので、他業界のサービスよりも、少し機密性・完全性によってますね。

さて、このように徹底した管理下の元で患者様(ユーザー)への継続して安定した医療サービス提供を行っていくため、今回は、医療サービスにおける開発について、より深くお話したいと思います。
多くのエンジニアのみなさんやそれ以外の方にも理解を深めてご自身の企業内でのコミュニケーションの活用にしてもらいたいと思っています。

医療サービス開発で大切にしてること

ネクイノCTOとして、また医療サービス開発のエンジニアとして、私は以下のことを常に考えて開発を進めています。

・医療システムであること
・ユーザーのことを考え抜いたシステムであること

ネクイノのサービスの一つである前身スマ診、既存サービススマルナはともに医療のサービスですので、上記の2つを考えた開発が必要となります。

医療システムであること

オンライン診察のプラットフォームと言う点で、「医療システム」としての設計は重要です。
もし、医療システムでなければ、そもそもオンライン診察プラットフォームとは呼べません。
医療サービスをユーザーへ提供するためには、通常のECサイトやメディアサイトなどの構成とは異なり、万が一のケースが発生したときの対応に備えることを常に用意して置かなければなりません。
”エラーが発生しました。診察の継続ができないため終了いたします。”
”データが破損しました。これまでの履歴は削除されます。”
なんてポップアップ表示されても、医師・患者様(ユーザー)の両者にとって大問題になります。

安心かつ安全な医療サービスを提供するためには、
医療録の三原則であるデータの「真正性」「見読性」「保存性」の3つを維持継続することはもちろん、これに加えて、ユーザーや医療機関を守るためのセキュリティ対策や、サービス利用を行う上で重要な”本人確認”といった相応のシステム環境面の信頼性を担保しながら、医師が診察を行う上でのあらゆる選択肢を提供する必要性もあるため、あらゆる立場を想定しながら開発を行っています。

また、様々な業界にもあります「ガイドライン(※1)」。もちろん、医療業界にもそれ相応のガイドラインが定められています。
医療業界でガイドラインは、臨床現場では患者の意思や生活環境などを考慮した上で、医師の意思決定の際の判断基準として使用されています。
そのためオンライン診療のプラットフォームでは、ガイドラインに記載がある要件以外にも医師が選択しうる機能を用意しておかなければなりません。
ガイドライン通りの実装をすることはもちろんですが、ガイドラインに記載がない診察方法についても行われるという可能性があるため、選択肢を出来る限り用意して、患者と医師の両者の想いを尊重することが大切だと考えています。

ユーザー視点であること

開発を行う上で考える点で、一番大切なのはユーザー視点で考えることです。
前述でもお話ししたように、医療サービスを構築していく上でガイドラインやシステム環境に視点が偏ってしまいがちになりますが、オンライン診療は、あくまで患者様(ユーザー)のためにあるべきプラットフォームです。
そのためには、徹底的に患者視点に立って、考え抜いてオンライン診察プラットフォームの構築し、それと同時に医療者の矜持を守らなければなりません。

近年横行しているのが、医薬品の並行輸入や、無診察での医薬品の処方という問題がありますが、私たちのサービスは、それとは異なり、患者様にとって安心安全かつ、リーズナブルで快適なオンライン診療を体験していただけるサービスです。
サービス開発を行う上で、スマルナを利用していただいている患者様(ユーザー)が最も求める医療体験とは何か?と考えた時、ご自身の生活リズムのフィットしたストレスフリーな体験が必要なのでないかと思っています。
これは、私の体験になりますが、病院へ行くということは、勤務の合間や、半休・欠勤して行かなければならないことは、ストレスですし、オンライン診療だからといって、処方されたお薬を薬局に取りに行くことや、お薬の配送までが一貫したサービスでない場合は、それもそれでストレスです。どこかで物理的に時間を割くことが必然的です。
また、診察という”コミュニケーション体験”ですので、待ち時間は致し方ないとしても、待ち時間を有効活用できると助かりますし、医療専門用語を並べられても理解し難いなど、考えるだけでも、あらゆることでストレスを抱えていることがわかりました。
昨今、コロナ禍ということで産婦人科の診察を受診される場合は、一定の制限がかかっているため、望むような受診ができないこともしばしばあります。

スマルナでは、様々な患者様(ユーザー)の想いを叶えるために、医療機関から直接患者様(ユーザー)へお薬をお届けするスキーム、さらには、待ち時間を解消するために非同期なコミュニケーション方法(※2)を選択肢に加えることなどを開発時に取り入れました。
もちろん、患者様(ユーザー)の安心・安全のために医師の判断により、オンライン診察を中止して、対面診察に切り替える場合もあります。
まずは、患者様(ユーザー)にとってのストレスフリーな体験であり、安心・安全を守ることが我々にとって最も重きをおいて大事にしています。

ここからは少しコストの話の軽くさせてもらいます。
スマルナは、「自由診療プラットフォーム」です。
そのため、医療機関が自由に料金設定を行いますがその代わり公的保険(健康保険)が使えず10割負担となります。
ただし、オンラインシステムを組み合わせることで、医療機関のコストの削減が可能です。
オペレーション上でどこにコストがかかっているかをシステムが肩代わりすることで、診察料金を現実的な価格まで下げることも開発上で行うことができました。

安心・安全の品質を下げてまでコストを下げることはしませんが、最大限患者様(ユーザー)が快適に生活の一部としてスマルナを選択肢に入れてもらえるようにシステム開発を進めていく中で日々努力しています。

さて、少し、医療サービスに関して大切にしている視点についてのここまでお話しさせていただきました。
まとめると、ガイドラインをベースに、安心・安全に医療サービスとしてご利用いただくために我々は、多角的な視点から物事を捉えながらサービス開発を進めています。

一歩先の医療サービスへ。

次回はさらに開発のメリットの深掘りとして「個人を最適化する」について開発、エンジニアとして何を大切にして、進めているかをお話ししたいと思います。
ぜひ、エンジニアを志している皆さんへのヒントにつながると嬉しいです。

※1ガイドライン
エビデンスに基づいて標準的な治療方針を纏めたもの。
ガイドラインを読むことで、医師は推奨されている治療を知ることができる。多くの臨床現場で高い診療レベルを保つツールとして、診療ガイドラインは使用されています。
診療ガイドラインで推奨されている診療内容は、現段階でもっとも有効な治療法だが、患者さんに対してその治療を受けるべきと強制するものではありません。最終的には医師の臨床現場での判断となります。

※2非同期的なコミュニケーション
テキストチャットやメールなど、個人が都合のよいタイミングで情報を確認・発信するコミュニケーション


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