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転生したエンジニアリングという異世界でのスキル振りは楽しかった

はじめに

「異世界だ、おいおい本当に異世界だ。俺って、これからこの世界で冒険とかしちゃったりすんの?」

このエンジニアリングという異世界に迷い込んだ転生人にとっては初めての開発というのは心躍ったものだろう。

かくいう僕もそんな1人だった。今ではこの世界で数多のスキルを獲得しジョブチェンの末、今はCEOのジョブについている。

僕の名前は宮田延昌。魔王を倒す宿命を背負い、変化と混沌の渦巻くこの異世界で、強い絆で結ばれた仲間達とともに合同会社リーンアウトで、技術経営支援やプロダクト開発をしている。

この冒険譚は、Qiita x 日本CTO協会共催!あなたの自己変革について語ろう! Advent Calendar 2022 17日目の、異世界で自己変革を遂げて生き残った冒険者の記録だ。そしてここでは、この世界でのスキル振りについて語りたい。

この世界について

皆は、この世界についてどう感じているだろうか。
僕は夢と希望に溢れた世界だと思っている

僕のCEOというジョブは、さらに他の異世界の住人と話すことができるというスキルがある。
そのスキルを使って他の異世界人から身の上について相談をもらったことがあった。
それは「シュリンクする業界、他に展開のしようもないスキル、目指せるジョブは1つしかなく、そのジョブに至るためのスキル振りは一手順の間違いも許されない。生命の維持が全てスキル振りにかかっている」という過酷な世界での相談であった。

それを聞いたとき、僕は自信を持ってもらうように励ますことしかできなかった。そういった世界があると思うと、僕が転生したこのエンジニアリングという異世界は、なんと素晴らしいのかと震える。

僕達の世界は、どんな専門職も求められ歓迎される本当に素晴らしい世界だ。自分の適性や特性や志向をもとに何にでもなれる世界だ。そして得たスキルは無駄にならず、ジョブチェンだって思いのままだ。スキル振りが楽しくて仕方ない世界なのだ。

もし将来のジョブに悩む者がいたならば、「汝、悩むことなかれ、己を信じ行動したならば、汝の未来はすでに輝かしい」と女神風に伝えたい。

しかし、昔はこれほど素晴らしい世界でもなかった。以前の世界は文明レベルが中世時代だった。ただ「早くて良いものを」という雑なミッションしかあらず、ただただ夜中まで奔走する日々。もしも「そんなものでは分からない、ちゃんとやっとてくれ」などと貴族に反旗を翻そうなら、身元の怪しい異世界冒険者など、事実を捻じ曲げられ亡き者にされることになっても仕方はない。そういう時代もあった。

当時は貴族に恐れ、愚痴を口にし、諦めの念を抱き、何より臆病になった。顧客が本当に必要だったものという当時を表した風刺絵もどこかで見たことがあるだろう。

しかし、時代は変わった。誰もが絶望を抱いたとき、冒険者達は立ち上がりこの貴族社会に変革をもたらした。愚痴よりも行動し、諦めずに挑戦し、臆病を消し去り勇気を振り絞った英雄達は、様々なノウハウを体系化して今のプロダクト開発や組織開発の魔法体系を構築したのだ。

そこから生み出されるのは、まさに魔法で、数々の心躍る課題解決を成し得ていった。それゆえに、今この世界では、冒険者職は希望に満ち溢れ、何にでもなれる世界となったのだ。


さて、ここまで壮大な世界観を記したが、これは冒頭に過ぎない。
なんということだ、まだ本題ではないのだ。この師走の忙しいときに、どうして無駄に長い文章を書き、時間を浪費させるのか。
分かっている、分かっているとも。しかし、たまにはふざけてもいいではないか。真面目ばかりでも面白くはなかろう。

パーティに訪れた災禍

パーティが思うように機能しない。

その課題は、異世界に転生して、一通り自分で出来るようになってから顕現した。ウォーターフォールでいうところの上流から下流、そして運用に至るまで沢山のスキルを得て、これからパーティリーダーとして強敵を倒しに向うその矛先だった。

専門職で構成されたスペシャリストのパーティなのに、後衛がトドメの魔法を放つ前に戦闘陣形が崩壊するのだ。
そんな戦いばかりが続くと、出会いの街で知り合ったときの希望に溢れていたパーティメンバーの目は、いつの日か陰りを見せていた。

これではいけない。

そう思った僕は、先代の知恵を学び、戦闘体制やパーティ運営など方法論を習得した。チーム内に開発プロセスを敷きパーティを機能させることが出来た。先代の知恵とはなんと素晴らしいことか。ありがとう、これで課題は全て解決した。

かのように思っていたが、メンバー達の目の輝きは戻っていなかった。

確かにマイナスになっていた状態をプラマイゼロには出来ていた。現状の悪い部分からフラットなあるべき姿への問題解決をするには、世のマネジメント手法はとても有用だった。しかし目を輝やかせ希望に溢れるあるべき姿には到底届いていなかった。そして気づいた。これは暫定対応に過ぎないと。

僕たち冒険者は知っている、暫定対応で満足してはいけない、本当に大事なことは恒久対応だ。真にあるべき姿とのギャップは何か、何が原因なのか。

今回の問題の答えは明白だった。原因は自分自身の身勝手にあった。

「自分はこれだけパーティのことを思っている。それなのにどうして皆は考えてくれない。どうして行動してくれない。」
「考えてくれるための、行動してくれるための仕組みが足りない。皆が動くプロセスに変えるんだ。」

そんな身勝手な考えが、この問題を起こしていた。
変えるべきは自分であった。

僕の自己変革

僕がやっていたのはHowの押し付けであった。「問題があれば、解決する仕組みを作って、それを導入すればいい。」とドライに考えていた。

「後衛が魔法を放つ前に体制が崩壊する」という問題を前に、「前衛が壁になっているうちに、中衛がサポートし時間を稼いだ後に、後衛から高火力の魔法を打ち込む体制でいこう!」と方法を提示していただけなのだ。
しかし、前衛だって中衛だって敵に立ち向かうのは怖いのだ。それなのに唐突に肉の壁になれとドMクルセイダーの役割を押し付けていい道理はなかったのだ。

これを解消するには、問題と方法の間にある原因についてパーティメンバーと議論する必要があるのだ。原因を探す議論は、アイデア出しに近く、メンバーの考えというのを出し合って集めることで、なぜその方法を取るのかの納得感を得られるようになるのだ。

前衛の怖さを後衛が理解できれば、適材適所な魔法を選び詠唱できよう。後衛が集中できないと詠唱が続けられないと前衛が理解できれば、出来る限り環境を作れるように尽力しよう。それぞれの想いを理解して相互で支え合おうとするには、皆で原因を探し出すことでもたらされる納得感が必要だったのだ。

論理で人は動かない。情理が人を動かすのだ。
僕は、人の想いに無頓着だった。これを変えなければならなかった。

もちろん、これだけで瞳に希望が宿るなどということはない。

そもそもカオスが渦巻く冒険の中で、大義名分もなく、仕組みだけで目の前の敵を倒し続けることに、誇りもやりがいもないのだ。

今ではCEOというジョブになり、魔王を倒し世界に平和をもたらすという大義を掲げ、そして自ずからカオスの中に血路を開き、仲間達を鼓舞する壮大なビジョンを説き続けるようにしている。
これを聞くと重いとかウザいと思うかもしれないが、
根底では、パーティメンバーの幸福のために最善を尽くす努力をし続けている。だからこそ思いが届くのだ。と思っている。

この素晴らしい世界での おすすめスキル

僕にはヒューマンスキルが足りていなかった。
このヒューマンスキルは、異世界転生モノ定番スキルでいうところの「鑑定」みたいなものだ。あるとないとでは得られる結果は雲泥の差となろう。

地球という世界線で、1955年にロバート・カッツが提唱した「カッツの3つの基本的スキル」というものがある。
そこには業務遂行のためのテクニカルスキルの他に、大事なスキルとして、
「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」をあげている。

カッツは、マネージャー職に求められるスキルというが、決してそんなことはない。マネージャーではなくても1エンジニアもとい1冒険者でも必要なスキルである。だってこのスキルは「鑑定」相当だ。チートスキルといって過言ではない。だからこそ、異世界ライフを満喫するためには取っておいた方が良いスキルなのだ。

「本来であれば、この詳細も書くべきところであろうが、なーに今はもう3000字を超えている、ここで更に長引かせて書いては、皆も疲弊しよう。」ということで、グロービスさんのリンクを置き、幕を閉じよう。

この大胆な省略は、決してサボっているわけではない。これはこの冒険譚の世界観のままカッツのスキルを書くことが出来ないという正しい判断なのだ。

あとがき

万が一、僕が本当に異世界に転生していると勘違いがあってはいけないので、伝えたい。これは僕が経験した出来事をネタとして書いたフィクションだ。実際に魔法が使えるわけでも鑑定スキルを持っているわけでもないので、あしからずご了承いただきたい。

ちなみに、この冒険譚に書いている気付きを得たのは、CTO同士の繋がりからだった。そんな機会を与えてくれるCTO協会というのは本当に素晴らしいコミュニティなのである。

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