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【小説】傘も差さずにハローグッバイ

【小説】傘も差さずにハローグッバイ

―チリンチリン。

 入口のドアが開く。

「いらっしゃいませ。」

 私はコーヒーを淹れる手を止め、来訪者へ笑顔で声をかける。

「お好きな席へどうぞ。」

 入ってきた男は一目散に窓際の席へと足を運び、腰をおろした。

 時刻は午後3時。雨天のくせに忙しかったランチタイムを終え、店は閑散として、広い席はたくさん空いているのに、わざわざこの店で一番狭い、窓向き横並びの二人席を選んだ。待ち合わせ、

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