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日々のこと0703「夜の分断、朝の逆光」

今日は告知を兼ねて。

緊急事態宣言が出ていた4月頃、初めて「脚本」を書いた。
いや違う。「脚本みたいな何か」を書いた。
それを朗読劇というものに仕立ててもらい、小さな公演をすることになった。
前から「脚本って一度書いてみたいな~」と思ってはいたものの、数々の素晴らしき映画やらドラマやらをいっぱい知ってるが故に、その難易度は途方もなく高く見えていた。何をどうしたらいいのか、さっぱり全然わかんないもん。今も。

時々お邪魔するカフェ「ロジウラのマタハリ 春光乍洩」の店主りりこさんにそんな話をしていたのは、昨年だったと思う。彼女は以前演劇をやっていたそうで、ご自分の脚本も見せてくれた。「いやー、ますます書ける気しない…」という私に「同時に書いてみない? 私も久しぶりに書く!」と提案してくれた。
脚本といっても、別に映像化とかの目的があるわけじゃない。なんでもアリの好き放題、予算も無限。自由なのである。
「じゃあ『配役:菅田将暉、北川景子、役所広司、ティモシー・シャラメ』とか書いてもいいの?」と言ったら「いいよー!」と言う。それは楽しそうだ!
しかし、結局ゆるい約束は実現しないまま、その年は終わってしまった。お互い日々にまぎれてしまった。

今年に入り、それを再び持ち出したのは私。内心、同じように引っかかっていたりりこさんと「具体的に締切をつくらないと永遠にダメだ」と、日にちを設定した。その場で共通テーマも決めた。

書き始めてしばらく経った頃、コロナ騒動が起きた。世界が一変した。
それまで書いていた内容が妙に白々しく思え、いったん全部捨てた。そこから、また新しく書き始めた。
結局、自分の話になった。「今は自分の身に起きた話しか書けないな」と思い、実話ベースで短い物語を書いた。

果たして「脚本」なんてエラソーに呼べるシロモノかどうか。それでも、りりこさんが「面白いよ、朗読劇にしてみよう」と、役者さんや音楽・映像をつけてくれる仲間を集め、演出もつけてくれた。りりこさん作の脚本と併せて、2本立てで披露することになった。

予約は追加公演含め全回満員となったらしい。私の脚本ということに興味を持ってくださった方々もいるそうで、申し訳ない。でもりりこさん作のステージがあるので大丈夫、「金返せー!」にはならずに済むと思う。
ちなみに当初あった「共通テーマ」も、私の方はいつの間にか消えてしまい、りりこさんの方だけがしっかり生きた。本当に、こちらは流石の内容となっているのでご安心を。

気に入ってて自信があるのはタイトル。これは私がつけた。「夜の分断、朝の逆光」、なかなか良いと思っている。
頭の中だけにあったぼんやりしたものは文字となり、文字は声となり音となり絵となった。いろんな人の大きな力を借りて、目の前に姿形として立ち上がる不思議。
見てくれる誰かに、風景が伝わればいいなと思っている。

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