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日々のこと0929 KYOTOGRAPHIE、恋する惑星

思い出すだけで幸せに満たされてフワフワ浮き足立ってしまう日が、またひとつ増えてしまった。はー嬉しい。
「KYOTOGRAPHIE 2020」と、映画『恋する惑星』の話をしますね。

ウォン・カーウァイの元専属スチールカメラマンで香港の写真家、ウィン・シャが「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」に出展している。日本での展示機会は多くないらしい。その名も「一光諸影
One Lights,Different Reflections. 
良いタイトル…(うっとり)。

京都では今、市内各所で写真展が開催中で、そのひとつがウィン・シャ。会場は「誉田屋源兵衛・竹院の間」で、写真は映画スチール中心に映像など。
誉田屋源兵衛とは、帯匠だそう。古家の薄く差し込む光の中を、流れる帯のように、はたまた映画フィルムのように、写真を連ねて展示していた。

自ら発光しているかのような90年代香港を写した写真の数々は、古い家屋に溶け込み、柔らかい風合いでプリントされて並べられていた。どれもこれも美しい。雰囲気と相まって本当にきれい。うっとり。
後で調べたら、竹和紙に焼いてあるらしい。竹和紙!?

ここでしか買えないという私家版の写真集も買ってしまった。贅沢した。「在庫もあと数冊だけなんですよ~」と、笑顔で受付のお姉さんが教えてくれる。ホクホク。
写真展、私は完全にウィン・シャ狙いだけど、一応ほか2-3箇所回った中では片山真理という人が良かった。9歳で両足を切断し、義足を使ったポートレート。「表現がこの人を生かしているんだな」と思う。

夢のような感覚も冷めやらぬまま映画館へ。この展示に合わせ、カーウァイ特集が組まれていた。『恋する惑星』、久しぶりに見た。


実は、何気にスクリーンでは初めて。始まる前からもう嬉しくて楽しくて、映画を見ながらずーっとニコニコしていた。夢のカリフォルニア、夢の金城武、夢のフェイ・ウォン、夢のトニー・レオン。

この人たちは、とにかくずーっと楽しそうだ。失恋したばかりの男たちも、好きな人になかなか振り向いてもらえない女も、そんな自分を楽しんでいる。映画の中に閉じ込められている、宝物みたいな人たち。
個人的にはもうちょっと苦悩する、切ないカーウァイ映画が好き。でも、さっきウィン・シャが映像の中で語っていた撮影現場の様子も映画に重ねる。どこで彼らにカットがかかり、どこで彼らにOKが出たんだろう、とか想像する。
しかし改めてツッコミどころの多い話だ。男の部屋に忍び込み、勝手に模様替えしていく女。『事故物件 恐い間取り』か(見てないけど)。それに気づかない男もどうかしている。しかしヌケサクで包容力ある男の人、イイ。トニー・レオン素敵。フェイ・ウォンの可愛さは異常。
彼らにしか許されないキザな台詞、行きつ戻りつ重慶を走り抜けるカメラワーク、映るもの全てが美しくカッコよい。辻褄なんてどうでもいい説得力にねじ伏せられる。夢見心地で劇場を出た。

ウィン・シャは「香港は変わる街だ。変化に柔軟なのが香港人の精神性」みたいなことも語っていた。こんな軽快で爆発力ある香港映画はきっと二度とない。今後の香港がどうなっていくのかも分からない。
最近、カーウァイの新作のニュースを読んだ。中国政府から『恋する惑星2020』続編の製作許可が下りたとか。どんなヘンテコ続編でも全然いいから、実現したら嬉しい。傑作の続編なんて何でも失敗作と言われるんだから、恐れずバンバンやってほしい。

そして私は2020年、90年代香港映画とその世界に漬かれて最上級に幸福だった。
KYOTOGRAPHIEはまだやってるので、お近くのかたは是非。

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