外出禁止令発動から一か月。街の様子はどう変わった?アメリカ・ワシントン州から
2020年3月23日、ワシントン州とオレゴン州でStay Home Order(外出禁止令)が発動してからおよそ一か月が経ちました。
トランプ大統領が経済活動再開の指針を発表しましたが、州知事は制限の緩和に対して慎重な姿勢を示しており、日常が戻るまでどのくらいかかるか依然として不明確なままです。
スーパーのレジには飛沫防止のためのアクリル板が設置され、娯楽施設や公園も閉鎖中。
病院の予約が強制キャンセルになったりと身の回りで様々な変化がありました。
街の様子はどのように変わったのか?気軽に外に出歩けない状況なのか?私の感じた変化について書いています。
※あくまで私の行動エリアで感じた街の様子の変化です。(ワシントン州・オレゴン州 4月17日現在の状況)
新型コロナを巡るワシントン州・オレゴン州の動き
ワシントン州・オレゴン州の新型コロナウイルス関連情報(日本語)は下記のサイトで確認できます。
ワシントン州のコロナウイルスを巡る動き
2月29日 ワシントン州に新型コロナウイルスによる死亡者発生(米国内初の死亡者)
州内に他2名の感染者を確認
緊急事態宣言(ワシントン州)
3月2日 感染者数18名。6名が死亡
3月16日 店内での飲食禁止、娯楽施設の営業停止
3月17日 州全体で学校閉鎖 4月27日再開とした
州内の感染者数1012名。52名が死亡
3月19日 アメリカ国務省が全世界の渡航情報を「渡航禁止」に
3月23日 州に外出禁止令が発動
4月2日 外出禁止令を5月4日まで延長
オレゴン州のコロナウイルスを巡る動き
2月28日 オレゴン州で初の感染者確認
3月8日 緊急事態宣言(オレゴン州)
3月12日 州全体の学校閉鎖 3月末までと発表
州内の感染者30名
3月16日 飲食店の営業停止 持ち帰りと配達サービスのみ可能に
25名を超える人の集まりが禁止される
3月17日 学校閉鎖を4月28日まで延長
3月23日 州に外出禁止令が発動
スーパーのレジにはアクリル板。ゴム手袋・マスクをして買い物をする
州知事が食料品・薬品以外のお店の営業停止を発表した3月中旬頃から、スーパーの感染症予防対策が進んでいきました。
スーパーマーケットでもSocial Distanciing(6フィート以上人と距離を保つ)は必須。
店舗によっては入場制限を行っているところもあるそうです。
床に立ち位置を示すシールが貼られ、レジ待ちでも客同士で距離を空けるように。
レジにSneeze Guards(飛沫防止のためのアクリル板)が設置されるお店も出てきました。
一般客に向けてオープンする前に高齢者専用の買い物時間帯を設けるチェーンも。
このあたりの対応のスピード感には驚きました。
ただ、この時点では店員さんはマスクをしていたもののお客さんはほとんどマスクを着けていなかったように思います。
しかしながら、外出禁止令が出た後の3月下旬頃にはさらに変化が見られるように。
ゴム手袋・マスク装着・エコバッグの持ち込みなし。
レジの商品を置くベルトコンベアもお客さんが変わるたびに毎回消毒。
買い物客もさらに予防を徹底するようになったと感じます。
自分が触れたものに菌がつかないようゴム手袋をして商品を手に取ります。
普段しているエコバッグの受け渡しもリスクととらえ、使い捨ての紙袋をもらいます。
特に、アメリカ人がマスクを着けることは普段ではほぼありえない?と思っていたし見たこともなかったので危機感の高まりを感じました。
買い物した後、庭でパッケージを開けて捨てたり、ひとつひとつワイプで消毒してから家に持ち込む人もいます。
自分の予防のはもちろん、自分が菌を運んでしまうリスクも考える意識の高さに私は気が引き締められました。
歯医者の予約はキャンセルに。妊婦検診も電話検診に振り替えられる
3月16日、州知事から食品・薬品以外のお店の営業停止が発表された日のこと。
3月末日までの病院の予約が重要性に応じてキャンセル(延期)されたり、電話での診察に振り返られたりしました。
私の家庭でも3月中に2件予約があったのですが、歯医者はキャンセル・もう一件は電話予約に変更すると病院から連絡がありました。
比較的重要ではない検診とはいえ、一か月に一度の妊婦検診も対面で診てもらえなくなり不安に。
4月は検診してもらたのですが、5月の検診予約は再び電話での検診に。
不安は感じますが、それだけ異常事態なのだと改めて感じさせられました。
また、薬局・歯医者・病院は一部の拠点が閉鎖に。
処方薬を服用している人は電話かオンラインで診察を受けて郵送で薬をオーダーするか、空いている薬局にピックアップしに行きます。
受け取りはcurbside pick up(車で来て駐車場で受け取る方法)が可能でした。
子どもたちは遠隔学習。本来の春のセメスターがまるごと学校閉鎖に。
ワシントン州は学校の再開日は6月19日になり(4月17日現在の状況)、子どもたちは実質春のセメスターの間ずっと学校に行かないことに。
パソコンやタブレットを使っての遠隔学習が続けられます。
外で遊びたくて仕方ないだろうなぁ..と思いますが、当初は公園の遊具で遊んでいる姿がよく見られました。
しかし、4月上旬には公園の遊び場も立ち入り禁止に。
だからといって遊び場がないわけではなく、家族でボール遊びをしたりローラースケートをしたりして遊んでいるようです。
都市部の様子はまた違ってくるでしょうが、空き地や使われていない駐車場スペースがあるので十分遊べています。
やっと雨の季節の終わり!この季節にぎわうはずのブリュワリーも当然閉鎖
アメリカ随一のビールの街ポートランドでは、本当ならこの季節は気持ちの良い屋外でビールを飲もうとブリュワリー(ビールの醸造所兼パブ)に多くのお客さんが集まるはずでした。
雨ばかりの冬が終わって「待ってました!」とばかりに昼間からたくさんのビール好きが集まります。
上の写真は、例年ならオープンエアーの一階から屋上まで満員のポートランドのブリュワリー。(2019年4月撮影)
ライブミュージックを聞きながら美味しいビールと心地よい日差しを楽しむ…。
残念ながら今年は当然それもできません。
そんな風景が見れないのは何とも寂しいものですが、ビールの販売は引き続き行われています。
ライブミュージックを動画配信するブリュワリーも。
各ブリュワリーは他の飲食店と同様、店舗を休業するか持ち帰りやデリバリーのみで営業を続けています。
ファーマーズマーケットはドライブスルーや事前予約方式に
この季節の風物詩とも言えるファーマーズマーケット。
例年は毎週開催され、ローカルの新鮮な野菜や果物・お花・フードなどを見て回ることができます。
やはり今年は中止になっているところが多いです。
しかし、ローカルなビジネスを守ろうと各地で工夫がなされています。
オンラインで事前予約を受け付け、ピックアップしてもらう形やドライブスルー方式で商品を販売するところも。
雰囲気を楽しめないのは残念ですが、いつもと違った形でもローカルの新鮮な食材を手に入れられるのは嬉しいですね。
今は食の楽しみが本当にありがたいので。
4月18日にはシアトルのユニバーシティ・ディストリクトなどでファーマーズマーケットが再開するというニュースもあります。
(入場制限やブースの間隔を広めるなどの対策がとられるようです。)
公園も閉鎖された。でも外に出てリフレッシュはできる
前述のとおり公園も閉鎖されている状況。
日本に住む友達から「外に出れなくてストレスすごく溜まってるんじゃない?」と心配されることが多いのですが、意外とそんなことはありません。
まず、外に出れないわけではなく、散歩やジョギングのために外に出ることは認められています。(6フィート以上人と距離をとるのが前提条件)
空き地や遊歩道・駐車場も広く、外に出ても人と十分に距離をとれるので比較的気軽に外に出れます。
(もちろん都市部では状況は違うと思いますが。)
多くの人が出歩いているのが見えますが、高い建物があまりなく見晴らしがよいのですれ違うことなく歩くコースを変えることができます。
四月中旬で気温は20度を超える日も。
天気は良いし、桜は綺麗に咲いているし、気持ちの良い陽気です。
例年通り上半身裸でランニングする人もいれば、友だちとスマホで通話しながら散歩する人もいます。
今のところ、多くの人が外の空気を吸ってリフレッシュすることはできているように感じます。
(逆に、この季節でなく雨ばかりの冬だったならストレスはかなり溜まっていたと思います…。)
緊張感はあるが気分転換はできる状況
外出禁止令の発動前後から感染拡大防止の動きがスーパーマーケットや病院で直ちにありました。
一般市民の危機意識も徐々に高まったと感じています。
例えば、当初はスーパーの店員さんもマスクを着けていない人が多かったのですが、4月現在では店員さんはもちろんお客さんでもマスクを着けている人の方が多くなりました。
スーパーなどに出かけるには緊張感がありますが、気持ちの良い陽気がこの状況に幸いしていると感じます。
心身ともに健康で一日でも早く日常が戻ることを祈ります。
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