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2024年6月の記事一覧

【詩】いつものコーラ

【詩】いつものコーラ

日曜の夜
いつものふたり
いつものコーラ
まいどあり

夏の夜は「生き返る」って
冬の夜は「変だ」って

楽しそうにケタケタ笑って
僕からコーラを買っていく

日曜の夜
いつものふたり
いつものコーラ
まいどあり

ある日
それほど寒くない日
今日もふたりはやってきて

日曜の夜
歪なふたり
いつものコーラ
まいどあり

笑い合うけど
静かに寄り添い
まるで今を噛み締めるみたい
じっくり小さく歩い

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【詩】朝日の温もり

【詩】朝日の温もり

もやりと広がる世界で
白いカーテンが光を浴びている

嗅ぎなれた匂いと
隣には大きな丸み

健やかな呼吸が
心地よく耳を撫でる

向かい合い
縮こまり

胸元に
身を寄せる

ふたり
ひとつの赤子になって

カーテンでは収まらない光が
部屋を満たして

あたたかい

まるで母の懐みたいに

ふたり
ひとつの赤子になって

ふわりすっぽり包まれる

【詩】子供のままで

【詩】子供のままで

私の母はなんでもかんでも口を出す人だった
私はそれを受け入れ
思春期には嫌がる素振りはするものの
内心では些細なことでも決めてもらえることに安心していた

今、光指す教会の体をした壇上で
左手の薬指に光る輪が通っていく

がちり、と一生離れなさそうな音がした

現実味のない景色を眺めながら
異動だろうかと考える
安心を貪る相手が変わるだけだ

どこまでも子供だな

と呆れて上がった口角に
彼はにっ

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【詩】落涙

貴方の為に流す涙は
いつだって虚しい

流したことさえ知らない
流した分だけ強まって
離れがたく
縛られる

変えられない現実を
見つめて
落ちてく
はらはらと

私を洗うシャワーみたいで

すっきりと目が覚めて
鮮明に突き付ける

清々しく痛い
心地良くて危うい

君の前で流す涙は
いつの間にか優しい

啜る音に飛び起きて
濡れた頬を確かめる
拭って
摩って
抱きしめて

期待している将来が

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【詩】空腹

【詩】空腹

薄くグレーがかったあなたの顔を
よく見たいなぁと
頭を枕に預けながら思う

少し俯き手元を見ていたあなたが
安心したような
それでいて迫り上がる熱を堪えるような
潤んだ視線でこちらを向く

きっとあなたには始まりで
私にとっては終わりで

やっとお腹を満たす時が来たと
大きな口で咀嚼するあなた

とても満足気で
美味しそうで

そんな無邪気な表情を
モヤがかかる意識の中で眺める

また終わってしま

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【詩】瞳

【詩】瞳

私はつやつやしたものが好きで

ロールパンの卵黄を塗った表面とか
つるんとした葉の表面とか
光沢のあるその質感が好き

きっと同じ理由が当てはまる

私を掴む艶やかな黒

少し濡れた表面に光が当たって綺麗なの

たまにきょろりと愛おしく動き
私の鼓動を速くする

遠くを見つめるそれ
細めて楽しそうなそれ
おどけて見開くそれ
少し恥ずかしそうに伏せるそれ

それが瞼に覆われる時
あなたはどんな顔をす

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