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【詩】子供のままで

私の母はなんでもかんでも口を出す人だった
私はそれを受け入れ
思春期には嫌がる素振りはするものの
内心では些細なことでも決めてもらえることに安心していた

今、光指す教会の体をした壇上で
左手の薬指に光る輪が通っていく

がちり、と一生離れなさそうな音がした

現実味のない景色を眺めながら
異動だろうかと考える
安心を貪る相手が変わるだけだ

どこまでも子供だな

と呆れて上がった口角に
彼はにっこりと微笑み返した

行く末は安泰そうだ

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