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子ども・思い出の詩

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#子ども

【詩】石

【詩】石

わたしの真ん中
ずっとある石
なぜかわたしを冷やす石

たとえば友だちと大笑い
たとえば家族みんなでおでかけ
そんな時は冷たいなんて
わすれて気づかないけれど
たとえばみんなかえった教室
たとえば暗い台所
石はじんわりわたしを冷やして
おいてけぼりになったみたい
毎日たまる冷たいに
なみだがこぼれる時もある
弱いみたいでいやなんだ
笑わないし心ぱいしない
のぞかないし言いふらさない
そんな人がいる

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【詩】うちゅう人がやってきた

【詩】うちゅう人がやってきた

ある日みんなは船にのり
ちがう星へとんでった
ぼくはひとりこの星で
とんでく船を見上げていた
みんながもどってくる前に
やってきたのは うちゅう人

ぼくのまわりは うちゅう人
だれの言葉もわからない
ぼくのまわりは うちゅう人
だれにも気持ちはつたわらない

それでもぼくら みんな生き物
同じ所はあるはずさ

おどろく時もあるだろうけど
おいしいごはんはきっとすき
休み方はちがうだろうけど
ふと

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【詩】ボタン

【詩】ボタン

目の前にボタン
おしちゃダメよ
とママの声

おしちゃダメ
ってどういうことか
わかってる

だけどなんだか他人事で
そんなことよりボタンが呼ぶんだ

押して?
音が鳴るよ?
どんな感触かな?
ランプが光るよ?
すごいでしょ?
かっこいいよね?
今なら1番だよ?
押してみて?
ほら
ほら!

喉が乾けば水を飲む
そのくらい自然な流れに乗って
気付いた時には沈んだボタン

ピンポーン

と同時に

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【詩】狭い部屋

【詩】狭い部屋

その部屋は成長した私には少し狭かった

普段ならたくさんの子どもがわいわいと遊んでいるが
今は自分しかおらず
部屋の狭さがより際立つ

部屋の窓から直接見える外
キキィー!と締め付けられるブレーキ音がなる度に
ハッと見上げるが
門を通る人影は目当てのものではなく
まるで一攫千金をかけたビンゴ大会で
ずっとリーチから抜け出せないような
そんな一喜一憂を繰り返す

これだけ人で溢れているのに
どうして

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