「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その3)
「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その1)、 (その2)の続編です。
「顧問」という働き方
家族の理解と安心も考慮しながらという条件が付くこととなり、模索は振り出しに戻るような状況となりました。
資金繰りがポイントのひとつです。初期投資、運転資金ともに低く抑えられる仕事ということです。退職金をつぎ込んで事業や投資を行い、失敗した事例があることはいろいろ読みました。
ネット検索していくうちに「顧問」というワードが浮上してきました。模索を始めた頃からヒットしていましたが、あまり関心を払ってきませんでした。
ところが資金面でのリスクが少なそうという点で、注目するようになったのです。
ネットの他、書籍や雑誌でも取り上げられてまして、資金面以外にも魅力的な言葉が並んでました。
・長年実務経験を積んできた人であれば、何かしら提供できるスキルがある
・知識・経験・人脈を活かして企業や社会に貢献
・1つの会社に縛られることなく、これまでのスキルを活かした柔軟な働き方が可能
・会社員として培ったスキルが活かせ活躍できる、やりがいのある仕事
などなどの言葉が躍っていました。
ネットで調べてみたところ、「顧問マッチング」を謳っている事業者やサイトの数は年々増えてきているようです。
・注目されてきている働き方
・需要は増え、今後も活躍の場は広がっていく
ネット、書籍、雑誌からはそんなことが読み取れるような気がしました。
早速、顧問マッチングサイト数社に問合せしてみることにしました。
「1年以内に退職予定の会社員です。活動できるのは退職後ですが、それまでの間、情報収集のために登録出来ますか?」
登録可能と返信あったサイトに早速申し込みすることにしました。
必要事項をサイトに入力し送信したところ返信ありました。電話でインタビューしたいとのことです。
インタビューは小1時間、入力した内容に沿った質問であったり、こちらの意向をお伝えしたりしました。
その後、間もなくして登録となりました。
それからは月に1回程度 案件情報がメールで送られてきました。ただ案件数は思ったほど多くなく、また中身も直ぐに自分に出来そうな案件はほとんどありませんでした。
自分の場合、顧問活動は退職後で、それまでは情報収集が目的の登録。今の時点で来る案内は登録者宛てに一斉メール配信されるほどほどの案件だけなのだろうと解釈しました。
直ぐに何か出来るという訳でなくメールを眺めているだけでしたが、退職後に携わることになるかもしれない近い将来に関しての内容であり、活動している姿を想像しワクワクしました。
退職したら、自分に向いた案件が個別に来るに違いない。電話インタビューでは感触も良かったし・・・・・・。退職後は新天地で楽しみながら頑張ろう、と思いを巡らせながらメールを見てました。
「顧問」という働き方で仕事をしようと漠然とながらも方向らしきが見えてきたのは、定年の10カ月ぐらい前でした。
ちなみに、この時点で在職中副業をするという発想には全くなりませんでした。職場の周りにもそのような事をやっている方は無く(承知している範囲内で)、そもそも会社員の身では時間的にもコンプライアンス上も無理と思ってました。会社の就業規則がどうなっているかも確認しませんでした。
野口さんの本との出会い
定年3年前ぐらいから、各種「定年本」を読みました。老後に向けての心構え、健康面のこと、家族や地域との関わり方、趣味、年金制度など様々な内容についてです。参考になる書物がいろいろありました。
「顧問」という働き方に注目するようになってからは、仕事・働き方に関しての本が多くなってきました。仕事に対する姿勢・心構えの他、具体的にどうやって活動するか事例も含め掲載されている本を選んで読みました。書店に行くと、そのような本を探すのが習慣になりました。
そんなある日、書店でビビッと来る本に出合いました。
著者は、大手物流会社を定年退職後にコンサルティング会社を起業、企業の戦略支援や人材育成の活動を行っている傍ら、セミナー・講演講師としても全国を飛び回っている方とのこと。前向きさと行動力そして考え方に共鳴し、一気に読んでしまいました。
この本を読んだことで、定年後に自分が目指そうとしていたことが、徐々に具体的になってくるようで、そしてそれに向かって進むよう背中を押されたような気がしました。
それから、「顧問」という表現でなんとなく語られていた仕事・働き方について、見方を少し改めるきっかけにもなりました。「顧問」の実体も知らず、なんとなく言葉にあこがれ、定年後の目指す姿として置いていたことに危うさを感じることにもなりました。
企業と人材をマッチングさせる民間事業者が、「顧問」という言葉を使ってビジネスしようとしているのであって、実際のところはどうなんだと。
その点、野口さんの本では、失敗談も含めご自身が経験され実践されてきたことに基づいて述べられていまして、内容も具体的でした。
この本に出会って背中を押されたような気がしたのと同時に、もっと気を引き締めて臨もうという気持ちになりました。
”再雇用いやだ”の逃げ道としての仕事・働き方にならなよう。
そしてネット上にある顧問マッチング事業者サイトの情報だけに頼らず模索を進めることとしました。
キャリアの棚卸し
野口さんの本も参考にしながら、定年後の仕事について、イメージを膨らませてみました。
自分のこれまでの知識・スキルを活かしての企業や社会へのお役立ち活動。
時代は常に刻々と変化し、自分の経験もどんどん古くなっていくことを想定し、賞味期限切れとならないよう学びながら活動。楽しくイキイキと!! (ちょっとカッコつけ過ぎか)
「企業や社会へのお役立ち活動」と言っても漠然としてまして、何を どうやってやるか について考えてみることにしました。
それには先ず「キャリアの棚卸し」というのが重要なようで、やってみることにしました。
これまで会社員としてどんなことをやってきたかを思い出しながら書き出していきました。成果や成功体験だけでなく、ダメだったこと、苦手だったこと、苦労したことも合わせて。そして会社の看板でやってきたことと、会社の看板を外しても出来そうなことに別け・・・・・
(以下、棚卸し結果の概要です)
新卒でメーカーに入社。工場に配属され技術開発に19年従事。実験室での研究を経て製品の試作開発、そして実プラントで量産化し製品を市場に投入するまをで担当。企画部署とすり合わせたり、顧客のところに出向いての活動もやりました。
40歳過ぎに法人営業に異動。工場で技術開発やっていた者がいきなり営業とは。最初は戸惑いながらも、品質・技術で顧客に価値提案して案件獲得できるようになりました。技術を判ってビジネスをやると面白いことを知り、楽しくなってきたのと同時に売上も上がってきました。クレーム対応、営業戦略立案、事業計画策定もやりました。お客様との接点活動は嫌でなく(というか好きだったかも)、社外の方とのご縁もたくさん頂きました。工場から営業に異動になった時には「3年はやってみよう。だめだったら工場に戻してもらおう」と思ってましたが、結局営業には17年在籍しました。
定年2年前に工場に戻り品質保証に携わりました。工場、市場・顧客の両方を知った上での品質保証は、活動の幅を広げることとなりました。
(以上、棚卸し結果の概要です。実際にはもっと細かく深くやりましたが)
職種・職場を「技術系 or 事務系」・「工場 or 営業」と単純に別けることは出来ませんが、対極にあるような職種・職場に両方とも長く携わりました。このことを振り返って「自分って、ちょっと凄くない?」とも思いました。学生時代典型的な理系人間だった自分が、よくもまあ泥臭い営業なんてやったもんだとも。
企画、設計開発、量産化、営業、品質保証、事業推進と、メーカーの主要プロセスを一気通貫で経験してきたことをあらためて認識しました。
ちなみに総務、経理、人事、購買、法務、知財といった部署には在籍しませんでしたが、仕事を進める上で常に関連してきた部署です。横目で見てまして概要は承知してました。(あくまでも部署外からのチラ見ですが)
こんなことを考えるうちに、製造業であれば業務の流れを俯瞰して見ることができるのかな、なんて気付きました。
それから営業にいた17年間は、どうしたら売上利益を上げられるか常に真剣に考えてましたので、この思考も役に立つかもしれないと思いました。
こんな会社員としてのキャリアが、定年後会社を離れてからも活かして仕事ができれば面白いな、という気持ちになってきました。
この時、定年まで7カ月余りになってました。
この続きは、「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その4)でお届けします!! いよいよ次回が(完結編)になります。お楽しみに!!
ここまで読んで下さってありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?