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地域共創のこれから——プロジェクト型の関わりによって、コミュニティにどんな変化を促すか 

これからの時代、1つの組織や地域だけでは立ち行かないことばかりです。

そこで、「競争」ではなく共に未来をつくっていく「共創」という考え方が広がってきています。

さらに、「共創」には「多様性」が必要とも言われます。
しかし、多様な人々がただ集まっただけでは、「共創」は生まれません。
もし人がいっぱいいるだけで「共創」が起きるなら、渋谷駅では毎日すごいサービスが誕生しまくっていることでしょう。

そこで、1つの場所・地域の中で新しい価値が生まれるということはどういうことなのか、私なりに頭を整理してみました。


「異質さ」から新しい価値は生まれる

そもそも、「多様な人」って誰なんでしょうか。
人数が多ければ「多様」なのか。ということは、都心部は「多様」なんでしょうか。

「多様」の定義自体も多様だと思いますが、私が考える「共創」に必要な「多様」は、「異質である」ことだと思います。


例えば、私が所属しているロフトワークという会社は、多種多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっているのですが、なんとな〜く、大切にしている価値観が近いので、そういった意味では同質的な感覚を覚えることもあります。

逆に、出張で田舎に行ったりすると、普段の自分の暮らしとの違いによって、「異質さ」を感じることがあります。

しかし田舎の人たちは自分たちの生活を「普通」だと思っている。
これは、「田舎で暮らす私たち」という同質性の中で物事を見ているからだと思われます。
このような、自己との差分が大きい対象との出会いによる発見が、「新しい価値」の種なのではないでしょうか。

私が担当しているいくつかの地域プロジェクトでは、その差分を大きくするために、違う属性で違う場所に住んでいる人を必ずアサインすることを心がけています。


共創を生む”差分”の見つけ方


ここで難しいのが、「差分」があれば、「共創」が起きるわけでもないということです。

単純に違う意見・文化をもつ人が集まったら、喧嘩別れになって何も生まれないかもしれない。
(一時的な喧嘩は良いジャンプになる場合もありますが)

プロジェクトにおいて、共創を生むための差分をどうやって見つければ良いのか。
そこで大切なのが、”軸”の設定デザインです。

ここでいう軸は、何を起点に差分を見つけていくかということです。
例えば、このプロジェクトにおける「主役」は誰なのか。
どんな産業を盛り上げていくのか。

まちづくりなどの包含的なプロジェクトではこの視点が忘れられがちですが、きちんと設定されていないと、結局どこにでもあるプロジェクトになり、参加する人のモチベーションも下がり、、といったことになってしまいます。

どこを起点で差分を見つけていくか、という軸は、地域での共創活動において特に重要なポイントだと思います。


まちづくりこそ、”切り口のデザイン”が必要だ

また、もう1つ地域プロジェクトを進めていくにあたって大切だなと思うのは、企画の”切り口”という視点です。

ここでいう”切り口”とは、地域をどの角度から見るか、という編集作業に近いなと思っています。

例えば私が担当していたSUWAデザインプロジェクトでは、地元企業を主役として、「企業価値を再定義したい」「PR活動を強化したい」という軸がありました。
ただ単にPR動画を作っても外部への波及力が薄い。そこで、「未来の映画祭」と称して、一般的な映画の予告編になぞらえた、企業の魅力を「理解した!」ではなく「もっと知りたい!!」と視聴者に思ってもらえるような動画を作るワークショップを企画しました。

まちづくり系のプロジェクトは良くも悪くも真面目になりがちです。
外部を巻き込むためには「面白い」ポイントをデザインする必要がありますし、長期化しがちなまちづくりのプロジェクトにこそ、地域当事者の「楽しさ」も必要だと思うのです。


モチベーションが重なる点が企画になる

「組織で同じビジョンを共有することが大切だ」
よく言われる言葉ですが、天邪鬼な私は「本当か?」と思ってしまいます。

プロジェクトには多様な人がいるのだから、関わる人それぞれのビジョンがあっても良いのではないでしょうか。

そこでプロジェクトマネージャーが気をつけたほうが良いのは、1つのビジョンの共有よりも、それぞれのモチベーションを関係者同士で共有しあうことだと思います。

また、そのモチベーションの重なる部分が企画の切り口になり得たりもするので、関係者のモチベーションの交点は何なのか、見極めることも大切です。

最近一緒にプロジェクトをしている知人から言われて「確かにな〜」と思ったのは、「田舎のプレイヤーは孤独だと言われがちだが、都市側にも孤独はある。それぞれの孤独を埋め合うことができるプロジェクトになるべきだ。」ということです。
それぞれの孤独の質は違えど、両者のモチベーションを担うことができる企画を作れば、それがプロジェクトのオリジナリティになる。


そんな、ボトムアップ型のプロジェクト設計が好きです。


取り止めのない感じになってきたので、今回はこの辺でお暇しようと思います👋


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