2020みやまうた01

コレ睫毛入っているな違和感と引き際を知りサヨナラを聞く

容量が分からず作った夕飯をタッパに詰める時差ぼけみたい

元日に向けて早まる閉店に大みそかすら追い出されるとは

冷めていくカップの肌に懇願すあなたにだけは捨てられたくない

閉店が迫りソファーは意地悪で女ひとりが泣き寝入りする

冷めきったカップの底にひとりきりわたしの顔が染みついていた

ベイサイドモールを無言で歩く夜に強くなれたねヒール音



大晦日にフラれたわけではない。そもそもそういう話ではない。
だってこんな歌のようなことが平気で起こっていたら、わたしは数奇な運命に翻弄される女として、今頃エンタメ業界で貴重な存在(素材生み出しマシーン)として引っ張りだこのはず。
いや、わたしなんて平凡な方だ。世に数多いる創作者たちはみんな命削って日々を送っているし、かなり激烈な恋愛や友情を日々送っていることになる。

年始に予定していた旅行が直前にキャンセルとなり、9日間ある冬休みの後半の目玉がなくなってしまった。あまりの悔しさにとても嫌な態度を取ってしまったと今になって反省している。
しかし現実には依然として不貞腐れたまま、湾岸のシネコンへ乗り込んだ。推しのいる事務所のカウントダウンライブのライブビューイングを見るためだ。
悲しいことに20時まで営業しているはずのショッピングモールはこの日19時閉店だという。某格安イタリアンチェーン店のお姉さんの圧力で19時前には早々に追い出された。
開場まで残り一時間近く車内待機するが、どうもこのところ、おトイレが近い。寒いと特に。
車の中で寒さと尿意に怯えながら時間を潰していると、続々と車が駐車場に入ってくる。どう考えたって目的は同じだ。
相方から途絶えた連絡を待つために何度もスマホを覗いていたが、途中から名も知らぬ仲間たちと同じく開場までの時間を確認するために覗くようになっていた。
何、この安心感。ひとりじゃないって素敵なことねなんて頭の中でメロディーが流れるじゃないか。
結局わたしのあんなにとげとげしていた気持ちは一時間も経たないうちに癒され、帰りにレモンサワーを5本買い、調子に乗って元日ひとりで飲みきってしまった。

この記事を書いている1月3日、更に3本買い足したわけであるが。
家の中でもどうしてかおトイレに行きたい。やっぱり心は寒いのです。



曲名を知らず何度も泣いた夜

サラダからトマトを抜いてキャベツレタスも

暗がりを惜しむ間もなく年を越す

ここからはまちがいさがしお正月

泣くなってお雑煮はもう作らない

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