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宝塚歌劇雑文集

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宝塚歌劇関連の雑文
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れいちゃん

柚香光さんが宝塚を卒業した。 柚香光さん、れいちゃんのことは、花組配属になった時からずっと観て来たから、柚香光版の『ALL BY MYSELF』を頭の中で構成できるくらい思い出の舞台は数多くある。 好きな作品は、『はいからさんが通る』 『DANCE OLYMPIA』『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』『Cool Beast!!』『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』『Fashionable Empire』『

配信で『アルカンシェル』花組千穐楽を

配信で『アルカンシェル』花組千穐楽を見ました。 せめてこれが『アデュー・マルセイユ』のようなショーとの二本立てだったらまだ納得できたけれど…。なぜ一本物にしたんだろう。少なくとも小池修一郎さんは「できる」と思ったのですよね? このストーリーで。全く理解できない。 タイトルと設定を見た段階で、トリュフォーの『終電車』やジョゼフ・ロージーの『パリの灯は遠く』あたりの映画を想像した。小池さんが参考にしていてくれていたらいいなと思っていたのだけど、いつもどおり、厚みのない小池修一

『1789』 歌っているのは誰か

2023年9月5日 火曜日  風が少し冷たく感じたりはするけど、秋の日は遠く。なかなか涼しくならないねえ。  やっと完治したと思っていたのに、またちょっとカゼっぽい。いよいよコロナか? 平熱なのでセーフ? いや、もはや何が本当なのか。さらに気をつけていこう。  体が弱っているときに、熱め、濃いめの緑茶を飲むと、かなりHPが回復する(気がする)。マグカップに入れて蒸気吸入をすれば、初期のカゼ菌は大体やっつけられる(と信じている)。今日も助けられました。一個人の感想です。

愛するには短すぎる?

2023年9月3日 日曜日  外に出たら、秋の虫が鳴いている。「あ、風が涼しい」と感じたのは9月1日だったと思う。四季がなくなったとはいえ、ちゃんと秋は来てるんだとホッとする。  今日は本当だったら雪組の全国ツアーを観に行っているはずだった。なんだったら、もう一度レモネードにチャレンジして。  8月は調子よく乗り切れたから、大丈夫だと思っていたのだけど、朝起き上がろうとしたら、メニエール病のめまいの発作に襲われた。大体2時間くらい横になっていたら治まるのだけど、一度目が回り

「おまえの涙に抗うのはつらいが」

2023年8月27日 日曜日  きのうの試合の結果が尾を引いている。  ジュビロ磐田のホームゲームで、ジェフ千葉との対戦。キックオフ50秒で、きれいにシュートを決められ、前半だけで3失点。千葉の戦い方は自由分想像できたのに、今回のスタメンが裏目に出た感じ。  それでも後半に古川陽介、後藤啓介と、ジュビロが誇る若手の選手二人を投入。期待に応えて、後藤啓介が2点をたたき込む。2点目はゴラッソ! よし、同点! というチャンスは何度もつくったけれど、2-3でゲームセット。  返すがえ

サ・イラ・モナムール

2023年8月19日 土曜日  10時からチケット発売。博多座『ME AND MY GIRL』とCornelius「夢中夢 Tour 2023」の発売日が重なってしまった。  『ME AND MY GIRL』は希望日が取れず、C席だけなんとか取れたけど、この回だけを観に福岡まで行くかどうかは悩むところ。  コーネリアスは、ただただ Zepp Haneda のチケットがほしかったのだけど。オフィシャル先行でLIQUID ROOMが当たったので、「これは行ける」と勘違いしてしまっ

『1789』2023新人公演

 『1789』星組新人公演を観てきました。  新人公演らしい初々しさと熱と、本公演とはまた違ったアプローチの作品を観ている楽しさ、演者を引き上げる作品の力も改めて感じた、あっという間の105分でした。  本公演がソフトなプロレタリア演劇的要素をリアルに表現していたのに対し、新人公演は青春群像劇に振っている感じ。また、それが若い演者たちに合っていて、1回きりの公演ではあったけれど、それがいい方に作用したような気もします。  観ていて思い出したのは、月組の新人公演でロナンを

花組全国ツアー『フィレンツェに燃える』

2022年10月22日(金)14時 神奈川県民ホール ミュージカル・ロマンス『フィレンツェに燃える』 作/柴田 侑宏 演出/大野 拓史  これは、どう受け止めればいいんだろう。柴田侑宏(ゆきひろ)作品だけあって、「駄作」とか「凡作」といった言葉で切り捨てられるようなものではなくて、いい場面もあるし、音楽もきれいだし(寺田瀧雄さんのすばらしい仕事)、よくできたメロドラマのようでもあるし、そこにとどまるものではないような気もするし…。  柴田さんの頭には、ヴィスコンティの『山

月組『グレート・ギャツビー』新人公演に思う

 新公世代でも、さすが月組。  ニックと運転手の会話から、自然に『グレート・ギャツビー』の世界へ。幕開きのさりげない会話って難しいのに、すばらしいな。ニック・キャラウェイ(本役:風間柚乃)は瑠皇りあさん。運転手/ヘンリー・C・ギャッツ(本役:英真なおき)は柊木絢斗さん。この運転手が、次はギャッツの父として登場するのがとってもいい。感動の2時間のはじまりだ。  ジェイ・ギャツビー(本役:月城 かなと)を演じたのは、彩海せらさん。組替えで雪組から来たばかりだけれど、雪組時代から

月組の読書会『グレート・ギャツビー 

 思わせぶりなタイトルになってしまったので、はじめに説明を。これは、「もしも宝塚歌劇月組の演者さんたちが催す『グレート・ギャツビー』の読書会があったなら、オブザーバーとして参加してみたいものだ」という話です。  宝塚歌劇をよくご覧になる方はご存じだと思うけれど、月組は本当にお芝居がいい。  特に月城かなとさんがトップに就任してからというもの、『ダル・レークの恋』『川霧の橋』『今夜、ロマンス劇場で』『Rain on Neptune』『グレート・ギャツビー』と、見事なまでに芝居

宝塚宙組『カルト・ワイン』

 観劇は、行先の分からないクルマに乗るようなもの。初めての演出家の作品ともなれば、そのドキドキ感はなおさらだ。  でも、ドライバーの運転技術が確かかどうかは、はじめの数分でたいてい分かる。この『カルト・ワイン』も、何の心配もなく、舞台上で起こることを観ていればいいことがすぐに分かった。あらかじめ、行き先を示すヒントが出され、語り口は軽快。テンポもいい。音楽もいい。芝居も見せる。一気に物語の世界に引き込まれ、痛快なラストにうならされる快作だった。  作・演出は栗田優香さん

宝塚歌劇の雪組の『CITY HUNTER』の新人公演

 作品と演出家と劇団には書きたいことがたくさんあるけど、ちょっと後回し。新人公演のレビューです。  新公チーム全員が本当に楽しそうに演じていて、舞台上はキラッキラ。本役さんにとらわれることなく自由に表現している子が多くて、それが気持ちよかった。芝居を深めることより、段取りやキャラ作りなどに奔走することが多そうなので、新公ではやりやすかったのかもしれない。  キャスティングがドンピシャ。役が多いのに、上手いこと割り振っていて、それを見ているだけでも楽しく、新たな面を見つけた

タカラヅカのショーはドレスで決まる▽宝塚宙組『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』

 ひー。楽しかった。  よく分からない幸せ感に満たされて、観劇帰りにデパ地下でお菓子を山のように買い込んでしまった。タカラヅカのショーって本当に人生のデザートだよなあ、なんてしみじみ思いながら。  不要不急とはいえないけれど、こういう気晴らしや楽しみがなかったら、いつか息ができなくなってしまうかもしれない。宙組の『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』は、つつがなく続いていく日々に欠かせない「デザート」であり「気晴らし」だったと、パンデミックを知ったいま、実感し

2021年の『ヴェネチアの紋章』。ヴェネチアの海は深いブルー。

 雪組全国ツアーの初日に行ってきました。彩風咲奈、朝月希和の新トップコンビのプレお披露目となる日。客席に入る前に拍手が鳴っていて、もしや、と思ったら、望海風斗さん、真彩希帆さんの前トップコンビがそろって客席に座っていらっしゃる。なんとも心強い船出。みんな、うれしかっただろうなあ。  だいもんもまあやさんも、在団中とちっとも変わらない雰囲気。客席からさっそく雪組の舞台を楽しんでいるようでした。だいもんの、何事においてももったいつけたり思わせぶりなことをしないところが好きです。