「そのままで、生きていていい」って光をくれた3曲

　折返しをとうに過ぎた人生は、たいして波乱万丈でもないけれど、それなりにいろんなことにぶち当たってきた。過ちも何度も繰り返したと思う。

　時には、自分の境遇を呪ったり、他人を恨んだり、羨んだり。そして、自らの浅はかさや無力さを思い知らされ、私は、なにをやっているんだろう、何のためにいるんだろう。そんなふうに、自分の存在価値を見失って心が粉々に砕けたことだってあった。

　望み通りになったことなんてほんの一握り。捨ててきたものや壊れたものばっかり。後悔のほうが多い。

　でも、そのたびに、この世界に音楽があってよかったと心から思う。

　今まで、いくつもの音楽に救われてきた。中でも、この3曲は、暗闇に囚われたときに、それでもそのまま生きていていい、と光をくれた曲たち。

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『That I Would Be Good』  Alanis Morissette

That I would be fine even even if I went bankrupt
That I would be good if I lost my hair and my youth
That I would be great if I was no longer queen
That I would be grand if I was not all knowing

　アラニス・モリセットの『That I Would Be Good』はアルバムSupposed Former Infatuation Junkieに収録されているが、リンクしたのはMTV Unpluggedのライブバージョン。

　That I would be good(fine,great,grand,loved) if〜 と繰り返す歌詞。人生の辛い局面や、己の至らなさや負の面も、すべて「良い」のだと「大丈夫」なのだと言い聞かせてくれているよう。さらに、アラニス自らが演奏する息遣いがはっきり聞こえるフルートの音が優しく、goodって、いいよって、聴くたびに涙が出そうになる。

　このフルート部分を吹けるようになりたくて、フルート教室に数回通ったが肺活量が足りず断念したのは余談。

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『ストレンジ カメレオン』  the pillows

勘違いしないでね　別に悲しくはないのさ
抱き合わせなんだろう　孤独と自由はいつでも

もしも全てが嘘で　ただ　つじつま合わせで
いつか慣ついていた猫は　お腹すかしていただけで
すぐにパチンと音がして　弾けてしまう幻でも
手の平が　まだ暖かい

恐いモノ知らずで　時代は　はしゃぎまわり
僕と君のすごした　ページは破り去られ
歴史には価値のない　化石の一つになるのさ
君と出会えて良かったな
Bye Bye 僕は Strange Chameleon

　the pillowsの『ストレンジ カメレオン』。リンクは  5thアルバムPlease Mr. Lostman収録のバージョン。

　いくつもの出会いと別れがあって、悲しい別れの原因はどちらのせいでもあるけど、どちらのせいでもなかったと思う。

　まわりの色にあわせてるつもりだったのに、馴染めないカメレオン。そんな出来損ないのストレンジカメレオンとはまさに自分で、でも人は皆、多かれ少なかれ自分のことをそう感じてるんだろう。

　だから大切だと思っていたはずの人の手を離した自分を責め続けた時、この曲にどれだけ救われたかわからない。孤独と自由は抱き合わせ、でも、出会えて幸せだった時間には変わりはないんだ。

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『I am Here』  のあのわ

私がこの目で見てきたもの
そしてこの手で捨ててきたもの
傷だらけの体　汚れた心も
歩いてきたから

遠回りばかりでも
誰かじゃない私の道だった

ゆく先はきっと敗北だろう
ゴールまでずっと遠いだろう
それでも見てみたい景色は輝く
この胸の中に

旅は終わらない
この歌は止まない
最期の日に朝日が昇る
私の上にも

　のあのわのアルバムCry Like a Monster 収録のラスト曲『I am Here』。 

　幼い頃、漠然と抱いていた「何者かになれる」という夢。でも今、大人になり思うのは、私は夢みたような「何者」かにはなれないだろうということ。きっと、残念ながら最後まで、私以外にはなれず、何もなし得ていない。「ゆく先はきっと敗北だろう」と。

　この歌は、それでもなお、最期の瞬間まで進み続けたいと思わせてくれる。なぜなら、自分が選びとり、歩んできた道は、他の誰のものでもなくって、とても輝かしいもののはずだから。

　生きてきたこと、生きていくことへの、強い強いエールだと思うのです。

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