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世界への挑戦 From 種子島〜Vol 1〜


2020年東京オリンピック(2021年開催)にて、初めて正式にオリンピック種目として認定されたサーフィン。
日本におけるサーフィン人口は200万人とも言われています。その中でプロを目指している人は約20万人。プロライセンスを取るには、司法試験よりも低い合格率2%の狭き門を突破しなければなりません。
この小さな島『種子島』に、そんな狭き門をくぐり抜け、あらゆる困難を乗り越えながらプロサーファーとして活躍を続けている女性がいます。


須田那月さん(27)

17歳からプロとして活躍を続け、2022年現在は国内ランキング3位の好成績を打ち出している須田さんに、今回はお話をお聞きしました

両親ともに海好きな家庭

常に海が近くに…というわけではなかった?

父がサーフィンをしていたこともあり、初めてサーフィンを経験したのは小学2年生でした。
だけど、その時ボードから落ちて波が怖く感じてしまって(笑)それっきりサーフィンからは縁遠くなっていました。サッカーとかピアノとかコーラスとか…サーフィン以外の習い事をしていましたね。
ただ水泳は得意で小学校の時は水泳の選手に選ばれて、町の記録会にも出てました。

本格的にサーフィンを始めたのは小学5年生の時からだったので、弟(須田喬士郎さん プロサーファー)よりもかなり遅いスタートです。

いつからプロが夢に? 

プロサーファーになる転機となった出会い

サーフィンを本格的に始めた時、プロになるってことはまだ現実的に考えられていませんでした。プロとしてお金を稼ぐというやり方が分からなかったし、だから現実的なことではないと思っていたんです。
プロになろうと思ったのは、同年代のプロサーファーの子のブログを見た時ですね。
「え?プロでお金稼げるの?」「スポンサーってどうしたらなってもらえるの?」ってすっごくびっくりして。思わずその子にすぐメールを送って、連絡を取り合う中で色々話を聞いたんです。種子島にも遊びに来てくれたり。そこからプロになるんだという思いが芽生え始めました。

その出会いがきっかけでサーフィンとの向き合い方が変わったと思います。


本音と理想の狭間で揺れた思春期


プロになる決意をしてから、朝サーフィンをして学校に行って、放課後も夕方からサーフィンをしてっていう生活でした。中学生の時、ほぼ全員が部活動をしていたんですけど、私はサーフィンをする時間がなくなってしまうから部活動には入らなくて…だけど本当はもっと友達と一緒に過ごしたいって気持ちがありましたね。この頃は正直に言ってしまうと学校にいる時間が一番楽しかったです。

でも中学2年〜3年の時にはプロになるんだって決めていたのでサーフィンをやめることは考えてなくて。

ただ高校進学の時はサーフィンを辞めたいと思うくらい悩んだことがありました。

地元の高校入試の1週間前くらいに、サーフィンをしながら通学するのは難しいって言われてしまって。全日制の高校だと出席日数とかを考えたら、遠征などの活動をしながら卒業まで高校に在籍することが現実的ではないって言われたんです。
遠征ってなると国内だけじゃなくて海外に行くことになりますから。

それで急遽、通信制の高校を入試することになりました。けど「なんで友達と一緒に進学できないんだ」って初めて親に反抗しましたね(笑)
反抗って言っても、「そうしなきゃいけない」って分かっていたから言い返したり、「やりたくない」とか強い反抗じゃなかったんですけど、すごく「なんで?」ってただ思ってしまいましたね。
本当、サーフィンなんて辞めてしまおうかってくらい落ち込みました。

だけど、中学を卒業して高校に進学するまでの1ヶ月、両親の勧めもあってサーフィンが盛んなオーストラリアに行ったんです。もしかしたら、両親も私の気持ちに気づいていたのかな?
そこで今まで見たことない高い技術を教えてもらって、全然違う環境を経して…やっと気持ちに整理をつけられましたね。切り替えられる良いきっかけでした。
改めて「プロサーファーになるぞ」って思えましたし、より真剣にサーフィンと向き合うきっかけになったと思います。



須田那月さんの話を聞きながら感じたのは、迷いながらもひたむきに、そして真っ直ぐに突き進んできた彼女のしなやかな強さ。
まだまだ子供だった当時の彼女からすると、自らの人生と向き合うこと自体そう簡単ではなかったはずです。
同じ年齢の友人たちが、羨ましく遠い存在に思えたかもしれません。
それでも、しっかりと未来を見据え決断を下すことができたのは、彼女いわく「周囲のおかげ」。
両親や周囲の人々からの理解と応援、そんな環境を築くことができたのは素直な彼女の人柄が人々を惹きつけ、応援したいという気持ちにさせてくれるからだと確信しました。

次回は高校入学後、プロライセンス取得後の変化や当時の心境をお聞きした様子をお伝えします。


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