第2章 なぜみやこやをつくったのか_町づくり・自治会の問題

数年前、私は中間支援組織である市民活動センター(宮崎市指定管理委託事業)のセンター長をしていたのですが、宮崎市は「地域コミュニティ活動交付金」というものがあり、その調査・分析、コーディネートをする事業がありました。

町づくりのど真ん中の事業になります。市内を区分けし、各エリアで町づくりに関する事業をするんです。予算が半端ない!エリアの世帯数に応じて予算が出るのですが、エリアによっては500万円前後の予算が投入されており、かなりダイナミックな事業がそれぞれの町で展開されることになります。

この事業は全国でもかなり珍しい取り組みであり、県外から町づくりの研究者が見に来ることもあったりして、私自身もとても関心度の高い事業です。

地域コミュニティ活動交付金とは https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/life/activities/town_planning/78580.html

市の事業ということで、市内全域の町づくりを見て回りました。

どこでも出ていた課題が「後継者不足」

そういえば、先日も相談を受けたのですが、事業に携わるのが高齢者ばかりで若手がいない。とのこと。

内閣府の調査結果でボランティアの内訳が出ているのですが、比較的町づくりに関するボランティアは多いという結果がでています。

では、一体若者はどこに行ったのでしょうか。

日中だと仕事ですね。
今の若い世代の背景を探ると、収入というものが大きく影響しているようも思います。
この辺り、貧困問題、非正規雇用問題、副業、働き方改革というキーワードが関係してそうです。

貧困問題は、次のテーマで書くので、その他の事をざっくりと書いてみます。

私たちの世代(40歳~)というのは、進学をして就職という考えの強い世代なので、比較的働いている人が多い。
昔は、夫は仕事で妻は家庭。という構図で成り立っていたため、ボランティアをする人たちも多かった。ちょうど団塊世代が定年退職をする辺りに「妻はたくさんの仲間がいるけど、夫は仕事がなくなるとやることがない」という社会現象のようなものが起き、「だからボランティアをしよう」というキャンペーンまじきものが世の中で流行りましたが、その世代の人たちもやがて高齢化を迎えました。
この辺りの世代が70歳~ですね。

次の世代はどうしているのかというと、働いていますね。
年金で生活をするという今までの常識が崩れてしまい、定年後も働かざるを得ないという現実が団塊世代を襲います。

若手はもっと深刻です。

ボランティアをするよりも、働きたい。バイトをしたいという考えにどうしてもなってしまうため、人がボランティアに足を運ぶのはどうしても躊躇してしまう。

40代の世代は家族で過ごす時間が大事というか、塾や習い事の付き添いで忙しい。そうなると、必然的にそれ以外の活動に顔を出すのが難しくなりますね。

毎回、講演会や勉強会で話すのですが、既存の防災体制ではマニュアルどおりにいかないし見直しする必要があるのではないかと思っています。
町が高齢化していくなかで、例えば日中に運び出せる人が町内にいますか?

若い人たちは外へ働きに行っています。

ボランティアどころか、家にいないわけですから町づくりや自治会活動は不可能ですね。

さて、当たり前の質問ですが、町づくりという場合、何を指しているのでしょうか?

平日の町の様子は誰が知っているのか?

誰も知らないんですね。

あえて言うなら、町内の家庭の様子を知っているのは民生委員や福祉協力委員。
私も民生委員なのでこの辺りの事情はよく分かります。

結局は町づくりが、町内に住む人たちの情報把握には繋がっていないという事です。

自治会の問題も複雑です。
これはもう、なんといったらいいか・・・。

価値観の違いは避けられない。

例えば、私は自治会の人間だし、子供会の人間でもあります。どちらもやってれば、お互いがうまくやれるかと思うがそうはいかない。

その組織に入るとその色に染まる。・・・というか、染まらざるを得ない。

どちらの組織にも関わって思うのは、価値観の歩み寄りというのはかなり難しいということ。これは決して仲が悪いという訳ではありません。色々なものごとの進め方や決定の仕方が違うため、お互いが歩み寄れないというパターンに陥ってしまう。

私は少し特殊というか、二つの地区の役員をしています。A地区の民生委員とB地区の子ども会長です。

A地区、B地区は全くカラーの違う自治会ですが、やはり子ども会と自治会の関係性は共通したものがあります。

この辺りは、私だけが頑張ってもダメなんです。それぞれが本音で話せる関係性を築けない。ここには少し仕掛けが必要だなあと思っているところ。

とはいえ、仕掛け一つにしても了解を得る行程がたくさんありますね。

自治会、子ども会、民生委員 等等・・・。

どんな場合でも、ファシリテート能力のある人が数名いないと、組織の運営は難しいことを痛感しています。

私は自治会単位で町を支える仕組というのが一番重要だと思っていて、町内に様々な仕組を作っているのですが、

今、施設を建ててその地区の民生委員をしている「A地区」では、子ども達のママも仲良しだし、自治会の人たちもよく訪れてくれたり関わってくれています。

これは、私の立ち位置が当事者というよりは「ファシリテーター」的な部分にいるからだと思います。

こうしたことを紐解いてみると、色々な町づくりの法則が見えてきます。

この辺りは、「ワタシマチメソッド」にて書いてみたいと思います。

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