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じんわりくる『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

雨が降らない日はすごく暑い⋯。「灼熱」「猛暑」より上位の暑さを表す言葉はあるのか、ないなら作ってもいいんじゃないかというぐらい、ほんとに暑い。

雨天の日や猛暑の日は家でドラマを見たりして過ごすのがよさそう。もちろんクーラーは適温設定で。

ということで、今回はNHKの火曜ドラマについて。『燕は戻ってこない』の余韻もまだある中で同枠で以下のドラマが始まりました。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
NHK 火曜夜10時
原作:岸田奈美
脚本:市之瀬浩子
出演:河合優実、坂井真紀、吉田葵、美保純、福地桃子、ほか(敬称略)

『かぞかぞ』と呼ばれるこのドラマ、すごくいい。「ハートフル」というベタな言葉じゃ足りないぐらいに何か心が動かされるものがある。
ストーリー、脚本、演出、キャスト、音楽がそれぞれに良い方向に融合するとすごくいいドラマになる印象だけど、今回もそれに当てはまるのではないかと。

昨年(2023年)1月、NHKのBSで放送されると大きな話題を集め、ギャラクシー賞奨励賞、ATP賞奨励賞などに輝いたというドラマが地上波に登場ということで、これは外さないかなと期待していました。

BSで放送されていたことに気付いていなかった自分が悔やまれるけど、こうして初回から見ることができるのでよかった。

ちなみに、今年BSで放送された『舟を編む』も地上波で再び放送されることを期待しています。

それにしても主人公「岸本七実」役を演じている河合優実さん、ナチュラルでリアルな演技が素晴らしいです。
友だちの「マルチ」こと、天ヶ瀬環役の福地桃子さんも、親がマルチ商法をやっているという不思議なふんわりオタク系(?)の役どころですごく可愛い。

1話の後半から七実の母・ひとみが急病で倒れ、下半身不随になり車椅子生活を余儀なくされる。2話ではそれまでの生活に更なる大変さが加わっての家族の奮闘が描かれるのだけど、そのお母さんを演じているのが坂井真紀さん。

本当にどこにでもいそうな、綺麗だけど庶民的なお母さんで、シングルで七実とダウン症の草太(吉田葵さん)を育てている、「ちょっと特別」な家庭の母親を務めているという難しい役。

2話では、車椅子生活になり、その受け入れ難い現実と向き合わねばならないけど、向き合いたくない、向き合えない、気を取り直したいけどやっぱり悲しくて、つらくて、リハビリもやる気出なくて⋯という胸の内がその絶妙な表情に表されていて、感情移入(泣)。
もうダメだ、いやだ、死にたい、と、親であっても一人の人間。辛い気持ち、弱い部分が涙とともに溢れてくるシーンにも(泣)。

その母親を、悪態つきながらも気丈に元気づける七実。そこがまた見ている方としてはけなげに感じる。優等生っぽくないところ(むしろクラスでは見下されている)がまた共感持てます。

母のひとみと七実がカフェでパスタを泣きながら食べるシーン、見入ってしまうほど放っておけなくて、じんときた(泣)。

その七実役の河合優実さんの卓越した演技がここまでひきつけるのかもしれないなと。
反抗的な態度やさりげないひょうきんさも、彼女によってよりリアルな、高校生の娘、草太の姉、祖母(美保純さん)の孫、マルチ(福地桃子さん)の友達役を表現できているのかもしれません。

なんだかとても見守りたくなる、応援したくなる、じんわりくる良い物語です。


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