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「三人模様の絶体絶命」について

百恵ちゃんの『絶体絶命』に出てくる浮気男の科白が、1番も2番もあまりに間抜けすぎることにけさがた不意に気付いて、早朝からウケています。「そこへ彼 遅れてきた彼 ふたりとも 落ち着いてって言ったわ」が1番なんですけど、いや落ち着けるか!貴様のせいじゃ!口縫うぞ!と女の立場でキレそうになるね。そもそも奥さん(多分。指輪してるから)と浮気相手の対峙という極めて重要な場に遅れてくんな!あわよくばふたりだけで事を収めてくれないカナーって考えてたのが丸わかりだわ。この点だけで考えても最低だな。
2番は救い難くて、「そこへ彼 話しかける彼 二人共 愛してるって言ったわ」……そう、1番の時点でコイツの口を縫っておかなかったことをここで後悔することになるわけです。浮気した側からの発言の中で、思いつく限り最悪の科白だろ。

わたしはここまでわかりやすく浮気されたことはないけども(こりゃ浮気してるなーと思って別れたことはあるけど)、仮に今後されたとして、どうすんだろうなと想像してみる。むかしは別れる一択だったけど、婚姻しているという現状を踏まえて今一度考えてみても、別れるしかなさそうだ。なぜと言って、別れなくても自分の性格上、別件で怒り出したときにも蒸し返して責めるのは目に見えているから。浮気した側は永遠にわたしの好きなときにそれについて責め苛む権利をわたしに与えてしまうわけで、そんな大爆弾を抱えて一生共同生活送るのってしんどすぎるだろと思う。

それにいまの旦那の性格を考慮すると、浮気するってことはもうわたしから気持ちが完璧に離れたということだろうから、どのみち別れるしかないという結論になる。わたしのことだけ選ばないなら、わたしも愛することができない。わたしはワンオブゼムになるのは耐えられないたちなのだ。悪気があるとかないとか、一度だけだとか、心が伴っているとかいないとか、そういうことは問題ではない。他の女に手を出した、という事実が全てなのだ。知った時点で、二度ともとには戻らない。心も、相手への想いも。

『絶体絶命』では、浮気相手側となっている主人公が「やってられないわ」と身を引いて終わるけども、その後、奥さん側はどうするだろうかと考える。二人共愛してる、などと宣った男を、再び家庭に迎え入れる気になるだろうか?これだけで短編が一本書けそうだ。

(今日のBGM)
山口百恵『絶体絶命』

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